【柿原格】あえて真っ暗な部屋で、テレビをつけろ
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誰もいないリビングのソファに座り、照明をすべて消して、ただテレビの電源を入れる。番組の内容はなんだって構いません。漆黒の闇の中で、画面から漏れる青白い光だけが自分の顔を照らしているとき、あなたは初めて、情報の本当の重さを知ることになります。私たちは普段、あまりに明るすぎる場所で、あまりに多くのノイズに囲まれて仕事をしています。視界に入るすべてがメッセージとして脳に流れ込み、自分が本当に大切にすべき思考が、まるで砂浜に書いた文字のように波にさらわれて消えてしまうのです。
私が戦略を練るとき、最も大切にしているのは、この暗闇の中で光を見つめるような感覚です。市場のデータや競合の動き、あるいはSNSで飛び交う流行。それらはすべて、昼間の太陽の下では眩しすぎて、本質を覆い隠してしまいます。しかし、一度すべてのノイズをシャットアウトし、たった一つの課題だけを暗闇に浮かび上がらせてみると、驚くほどシンプルに解決策が見えてくることがあります。大切なのは、情報の量ではなく、その情報の解像度をどこまで高められるか。そのために、あえて視界を狭める勇気が必要なのです。
仕事において優秀であるということは、多くのことを同時にこなせることではありません。むしろ、今この瞬間に、たった一つの重要なことにどれだけ深く潜れるかという潜水能力のようなものです。ビジネスの現場では、常に複数のタスクが襲いかかり、私たちは呼吸することさえ忘れて溺れそうになります。そんな時こそ、心の照明を一度落としてみてください。自分が今、本当に解決すべき問題は何なのか。誰を笑顔にするために、このプロジェクトを動かしているのか。暗闇の中で浮かび上がるその光こそが、あなたの進むべき羅針盤になります。
私は、スマートな正解を並べるだけの人間になりたくありません。むしろ、真っ暗な部屋で一人、画面の光に目を細めながら、誰も気づかなかった真実に辿り着くような、執念深いパートナーでありたいと考えています。論理だけでは届かない場所に、人の心を動かす魔法が隠されています。その魔法を見つけるには、効率という言葉を一度捨てて、非効率なまでの没入を自分に許さなければなりません。
あなたがもし、自分自身のキャリアや、担当している事業の行く末に迷っているなら、一度立ち止まって、自分だけの暗闇を作ってみてください。明るい場所では見えなかった自分の本音が、静かに語りかけてくるはずです。私たちは、そんな一人の人間の深い思考から生まれる、強くて優しいエネルギーを信じています。ノイズに惑わされず、たった一つの光を信じて突き進む。そんな純粋な強さを持ったあなたと、まだ誰も見たことのない新しい景色を、一緒に作り上げていきたいのです。