気持ちが届く瞬間をつくりたい
社会人として最初に選んだのは、不動産登記の事務職でした。
丁寧に書類を扱いながら、どこかで「もっと心が動くことがしたい」と思っていた気がします。
そんなとき、偶然参加した公開声優オーディションで、人生が大きく動きました。
未経験ながら2位をいただけたのは、実力というよりも、
どうすれば自分を見つけてもらえるのか、どうすれば伝わるのか——
それを一つひとつ考えて行動した結果でした。
アイコンを変えたり、プロフィールの言葉を工夫したり、
見てくれる人の興味を調べて配信内容を変えてみたり。
伝え方に向き合う時間が、いつの間にか楽しくなっていました。
作ることがずっと好きだったと気づいた瞬間
昔から、工作や料理、絵、漫画など「作ること」が好きでした。
でも、“自分にはクリエイティブな道は難しい”とどこかで思い込み、
大学では社会学を学びつつ、安定した職に就きました。
それでも、イタリア留学で美術や文化に触れた経験や、
オーディション後に所属した音楽会社での配信活動が重なり、
気がつけば、表現の世界が生活の一部になっていました。
発信を続ける中で動画編集に出会い、
仲間内に作った映像を見せたときに返ってきた
「こんなふうに形になるなんて嬉しい」
という言葉は、思っていた以上に心に響きました。
数分の映像が誰かの気持ちをそっと支えてくれることがある——
その事実を知った瞬間、胸の奥に小さな灯りがともったように感じました。
映像の中に、その人の気持ちをそっと置いていく感覚
初めてMV制作を頼まれたとき、
「イラストは数枚だけ。でも素敵な作品にしたい」という相談を受けました。
どうにか華やかにしたくて、足りない素材は自分で描き足し、
曲の雰囲気に合うように色味を整えて構成を組み立てました。
完成した映像を見た依頼者さんの
「あなたに頼んで良かった」
という言葉は、今でも忘れられません。
私がやりたかったのはこういうことなんだ。
誰かの気持ちを、ちゃんと映像に置いていくことなんだ、と。
私が映像をつくり続けたい理由
私が映像に向き合い続けているのは、技術や表現方法が好きだから——
だけではありません。
いちばん心が動くのは、人やサービスの良さが映像を通して 「ちゃんと届いた」 と実感できた瞬間です。
MVでも、商品紹介でも、SNS動画でも、
依頼してくださる方には必ず “伝えたい理由” があって、
それは言葉になっていない想いだったり、
上手く形にできずにいるイメージだったりします。
私は、その小さな種みたいな気持ちをそっと拾い上げ、
“その人らしさ・サービスらしさ” が自然と立ち上がる映像にしていくことが好きです。
誰かの頭の中にある曖昧なイメージが、
画面の中で息をし始めた瞬間の「これだ!」という表情や声。
その瞬間に立ち会えることが、何よりも嬉しいからです。
その人が大切にしている気持ちが、見る人の心にふっと届く——
そんな小さな光のような映像を、これからも積み重ねていきたいです。