砂漠に沈む潜水艦と、ゼリーで固めた高速道路
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こんにちは!栗山和輝です。
キャリアを形成するという営みを、多くの人は地図を片手に山を登るようなものだと考えています。 しかし、私たちが日々直面している仕事の本質は、むしろ乾いた砂漠の真ん中に深く沈み込んだ、一隻の潜水艦の操縦に近いのかもしれません。 窓の外には魚の姿もなく、ただ果てしない砂の粒子が静かに積もり、潜望鏡を覗いても見えるのは自分自身の不安な瞳だけ。 私たちはどこへ向かうべきかを知らないまま、計器の数字だけを信じて、密閉された空間で呼吸を繰り返しています。 私がデザインや戦略を練る際に意識しているのは、その閉塞感の中に、一筋の冷たい海水を注ぎ込むような違和感を作ることです。 かつて私は、街の真ん中を走る高速道路を、すべて色鮮やかなゼリーで固めてしまう夢を見ました。 車たちはその弾力のある路面に閉じ込められ、速度を失い、ただ夕日に照らされて宝石のように輝いていました。 効率やスピードを追求し続けた果てに、私たちは自分たちが何のために急いでいたのかを、ゼリーの中で思い出そうとしています。 便利さを極めた世界では、立ち止まることさえも一つの高度な技術となり、私たちは静止するためのエネルギーを消費し続けます。 ある日、私は道端で、自分の影を丁寧にアイロンがけしている奇妙な修理工に出会いました。 彼は、影がしわくちゃになると、その持ち主の運命もまた、複雑に絡まり合って解けなくなるのだと教えてくれました。 修理工が熱いアイロンを影に押し当てるたびに、地面からはアスファルトが焦げるような、懐かしい匂いが立ち上ります。 私たちが組織の中で役割を演じることも、自分の影を平らにならし、他人の視線に合わせて輪郭を整える作業なのかもしれません。 潜水艦のハッチを叩く音が聞こえ、私はそれが外部からの救助なのか、あるいは内側からの崩壊の合図なのかを考えます。 ゼリーに閉じ込められた車たちは、ゆっくりと溶け出し、やがて甘い香りを漂わせながら、地下の水路へと消えていきました。 アイロンをかけ終えた影は、持ち主の足元を離れて独立し、独りで夜の街へと歩き去ってしまいます。 砂漠の砂は潜水艦の内部にまで侵食し、私の足首を冷たく覆い、重力という言葉さえも過去の遺物へと変えていきました。 あなたが今、必死に掴んでいるそのハンドルは、果たして本当に車輪と繋がっているのでしょうか。 それとも、あなたはただ、空っぽの操縦室で、誰かが用意したシミュレーションの海を泳ぎ続けているだけなのでしょうか。 遠くで砂嵐が止み、空には見たこともないほど巨大な銀色の魚が、音もなく横切っていくのが見えました。