“浸透”という言葉を疑ってみた日
ある企業で、経営理念の浸透を支援していたときのことです。トップと私は、「理念を社員に浸透させたい」と強く願っていました。パンフレットをつくり、全社集会で繰り返し伝え、動画も制作しました。
けれども、現場の社員たちに話を聞くと、「わかってはいるんですけど…」という言葉が返ってくる。理解はしている。でも、日常の行動は変わっていない。
そのとき、私は考え込みました。“浸透”という言葉を、信じすぎていたのかもしれない。多くの企業が「伝えること」を“浸透”だと思っている。でも本当の浸透とは、外から押し込むことではなく、内側からにじみ出るものだと気づいたのです。
理念は、知識ではなく「関係性の言葉」。会社と自分、仲間、社会とのつながりの中で、初めて“自分ごと”になる。
だから必要なのは「説明」ではなく「対話」。「納得」ではなく「気づき」。経営理念が社員を通して“語られ続ける”状態こそ、インナーブランディングの目的だと思うのです。
あなたの会社では、「伝える」と「自分ごとになる」の間に、どんな壁がありますか?コメントやご質問をお待ちしています。次回は、「共感では変わらない」というテーマでお話しします。
See you in the next one!