🌺海に生かされて – Okinawa Days
🌺海に生かされて – Okinawa Days
vol.6「夜の底で聴く光 ― 内なる静けさ・海の闇」
夜の海は、昼のそれとはまったく違う顔をしている。
波の音も、風の匂いも、すべてがゆっくりと深く沈んでいく。
月明かりに照らされた海面は、鏡のように静かで、
その下には、もう一つの世界が眠っている。
ライトを手に、そっと潜降をはじめる。
光の輪が、水中でゆっくりと形を変えながら広がっていく。
昼間の青は消え、代わりに現れるのは、深く澄んだ黒。
そこに漂う無数の粒子が、星のように瞬いていた。
夜の海には、言葉がない。
けれど、確かに“声”がある。
それは、潮の鼓動であり、命の低い響きであり、
そして、心の奥で静かに鳴り続ける自分自身の音。
光の届かない場所でも、海は生きている。
小さな生きものたちが、淡い光をまとって泳ぎ、
そのひとつひとつが、夜の闇をやさしく照らしていた。
まるで、見えない祈りの粒が、ゆらゆらと浮かんでいるようだった。
その光を見つめながら、ふと思う。
暗闇の中にこそ、見えるものがある。
沈黙の中にこそ、聴こえるものがある。
それは、海がずっと教えてくれていること。
浮上すると、夜空には満天の星。
海面に映る星たちが、まるで呼吸するように揺れていた。
静寂の中で、私はその光の音を聴いていた。
今日もまた、海は何も語らず、
それでも確かに、すべてを教えてくれる。
🌿あとがきメモ
光は目で見るものではなく、心で聴くもの。
そのことを、夜の海がそっと教えてくれた。