🌺海に生かされて – Okinawa Days
🌺海に生かされて – Okinawa Days
vol.3「波の記憶」
午後のビーチは、いつも少しだけ寂しげだ。
朝の光が去り、風が落ち着き、
海はゆっくりと呼吸を整えている。
砂の上に残る波の跡は、
まるで過去の会話のように、静かに消えていく。
それでも、確かにそこにあった。
海と風と、そして誰かの笑い声。
波は、記憶をさらっていく。
けれど、同時に新しい記憶を運んでくる。
あのとき見た青、あのとき聴いた音、
それらが心の奥に小さな光として残り続ける。
今日の海は、少し優しい。
うねりの合間に、どこか懐かしい匂いがした。
もしかしたら、それは“前に潜ったあの日”の記憶。
あるいは、もっと昔、まだ名前も知らなかった頃の“私”の記憶。
波打ち際に立ち、目を閉じる。
耳に届くのは、ただ寄せては返す波の音。
それがまるで心臓の鼓動のように感じられて、
「生きている」という感覚が静かに満ちていく。
海はすべてを覚えている。
悲しみも、歓びも、祈りも──
そして、私たちがここにいたということも。
今日もまた、波はその記憶をやさしく包み、
何事もなかったかのように、
静かに、砂の上に戻っていく。
🌿あとがきメモ
波は消えても、記憶は残る。
そしてその記憶が、次の一歩を導いてくれる。
海の記憶は、いつも“未来”の形をしている。