🌺海に生かされて – Okinawa Days
🌺海に生かされて – Okinawa Days
vol.2「光の階段を降りて」
午前7時。
海はまだ眠りの余韻をまとい、波の音だけが静かに響いていた。
ボートの上から見下ろす水面は、ガラスのように透き通り、
そこに朝の光が、ゆっくりと降りていく。
潜降ロープを握り、少しずつ水の中へ。
光の粒が降り注ぐその瞬間、
まるで“光の階段”を降りているような感覚に包まれる。
上から差し込む太陽の光が、
水のゆらぎに合わせて形を変え、
無数の小さな道となって、深い青へと導いてくれる。
足元では、白い砂が光を反射して、
世界全体が柔らかな金色に染まっていた。
その中を、一匹のチョウチョウウオがゆっくりと泳いでいく。
音もなく、ただ光と影だけが会話しているようだった。
どこまでが自分で、どこからが海なのか。
その境界が消えていくとき、
心は不思議な静けさに包まれる。
呼吸の音だけが、確かな現実を伝えてくれる。
“生きている”ということが、
こんなにも優しく、こんなにも美しい瞬間に感じられるなんて。
浮上すると、太陽はすでに高く、
空と海の境界もゆるやかに溶け合っていた。
今日もまた、この光の中で。
私は海に生かされている。
🌿あとがきメモ
光はいつも、上からではなく、内側からも差し込む。
それに気づける瞬間が、潜ることのいちばんの贈り物なのかもしれない。