【福本潤・元医師】会議室が消えた日、チームの未来はどうなるのか
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ある日、社内の会議室がすべて撤去されたと聞かされたとき、最初は冗談かと思った。オフィスの象徴のような場所がなくなることで、私たちは一体どうやって仕事をするのだろうか。だが新しい試みは、単なるスペースの削減ではなく、働き方そのものを問い直す挑戦だった。
会社は、物理的な会議を廃止し、完全オンラインでのチームコミュニケーションを推進した。最初は戸惑いの声も多かった。対面での雑談や、相手の表情から読み取る空気感が失われることで、情報の伝わり方や意思決定のスピードに不安を感じたからだ。しかし、実際に数週間を過ごしてみると、意外な変化に気づいた。
オンライン上では、発言のタイミングや参加の仕方が多様化し、これまで発言できなかったメンバーも積極的に意見を出すようになった。資料やデータもリアルタイムで共有され、会議の準備にかかる時間も大幅に削減された。効率だけでなく、チームの創造性が思いがけず広がった瞬間だった。
この経験から学んだのは、物理的な「場」に頼らなくても、チームはつながり、成果を出せるということだ。重要なのは、ツールや環境に依存するのではなく、互いの信頼と目的意識を持ち続けること。会議室がなくなったからといって、チームの熱量やアイデアまで消えるわけではない。むしろ、境界線を取り払うことで新しい働き方の可能性が見えてきた。
未来のチーム運営は、空間や時間の制約を超え、個々の能力を最大限に引き出す柔軟さが求められる。会議室が消えたことで、私たちは単に場所を失ったのではなく、新しい価値の創造に挑むスタートラインに立ったのだ。これからの組織づくりには、物理的な制約を超えたアイデアと、挑戦を楽しむマインドが欠かせない。