【福本潤・元医師】会社のオフィスで見つけた「未来の働き方の秘密」
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先週、僕は普段と同じようにオフィスに出勤した。ところが、入った瞬間に空気が違った。机やパソコン、会議室はそのままなのに、どこか時間の流れが緩やかで、同僚たちの動きがまるで波のように見える。聞けば、新しいプロジェクトチームが「未来の働き方実験」をオフィス内で開始しているらしい。
そのプロジェクトでは、社員が自由に作業空間を変え、思考やコミュニケーションの効率を観察する試みをしていた。壁に貼られた紙やホワイトボードではなく、プロジェクションされた仮想空間にアイデアを書き込み、会議もVR上で行う。初めは戸惑ったけれど、画面の向こうにいる同僚たちの表情や手の動きがリアルに伝わると、逆に集中力が増す感覚があった。
特に面白かったのは、個々の作業リズムが視覚化され、チーム全体の「流れ」が見える仕組みだ。誰がどのタスクに時間を使っているのか、どのアイデアが共鳴しているのかが一目でわかる。今まで気づかなかった同僚の強みや、逆に自分が引きずっていた小さな非効率まで浮かび上がってくる。このシステムは、単なる効率化ではなく、人の働き方を科学し、個々の個性を最大化する試みだった。
さらに驚いたのは、休憩の概念まで変わっていたことだ。指定された時間にコーヒーを飲むのではなく、自分の脳が疲れを感じた瞬間に仮想空間でリフレッシュできる仕組みが導入されていた。呼吸法や短い瞑想、思考の整理のためのワークスペースが用意され、これまでの「長時間座るオフィス」が抱えていたストレスが自然と解消される。
オフィスを出る頃には、空間の中で感じた小さな変化や、同僚の新しい姿勢が心に残っていた。未来の働き方は遠い話ではなく、目の前の環境や習慣の工夫から生まれるのだと実感した。これからの企業は、場所や時間に縛られず、個々の創造性を引き出すための実験をどんどん取り入れていくべきだろう。僕も今日から、自分なりの「働き方の小さな革命」を始めてみようと思う。
この体験を通して学んだのは、効率や成果だけでなく、働く人の感覚や思考をデザインすることが、未来の企業の鍵になるということだ。オフィスにいるだけで未来を感じられるなんて、考えてみればちょっとワクワクする。