【松野翔太:堺市/教師】問いかけが生む、最高のサービス
Photo by Sean Oulashin on Unsplash
今日は、僕がフリーランスとして独立してから、改めて大切にしていることについてお話ししたいと思います。
僕は、もともと高校の教師をしていました。教壇に立ち、生徒たちと向き合う日々は、僕にとってかけがえのない時間でした。特に印象深いのは、生徒が何かを学ぶ過程です。
例えば、数学の授業。 ある生徒が、僕に尋ねました。 「先生、この問題、どうやったら解けますか?」 僕ならすぐに答えを教えることができます。でも、僕はあえて答えは教えず、こう問いかけました。 「この問題のどこが難しいと感じる?」 「他に似たような問題、解いたことはある?」
すると、生徒は自分の言葉で、問題のどこでつまずいているのかを説明し始めます。そして、自分の力で考え、解法へのヒントを見つけ出す。
僕が与えたのは「答え」ではなく、「問い」でした。 そして、その「問い」が、生徒自身の学びのきっかけになり、最終的に彼らが自力で問題を解くという「成功体験」につながったのです。
この経験は、システムエンジニアになった今も、僕の仕事の根幹にあります。
フリーランスとして、様々なクライアント様と仕事をさせていただく中で、僕が最も大切にしているのは「ヒアリング」です。 お客様は、多くの場合「こんなシステムが欲しい」「この機能を追加してほしい」という具体的な要望を持って相談に来られます。
でも、僕はすぐにその要望を鵜呑みにして開発を始めることはありません。 まずは、僕がかつて生徒に問いかけたように、お客様に質問を投げかけます。 「なぜ、この機能が必要なのですか?」 「この機能ができた先に、どんな未来を思い描いていますか?」
この「なぜ?」を掘り下げていくと、お客様自身も気づいていなかった、本当の課題や、本当にやりたかったことが見えてくることがあります。
例えば、 「毎日のデータ入力が大変で、なんとか自動化できないか」 というご相談があったとします。
もし、僕が言われた通りに自動化ツールを作るだけなら、それは単なる「作業代行」です。 しかし、「なぜ大変なのですか?」と問いかけると、 「入力したデータを、別のシステムに手動で移し替える作業が面倒で…」 「そのデータを基に、毎週レポートを作成するのも時間がかかる…」 といった、さらに深い課題が見えてきます。
そうなれば、単純な自動化ツールを作るだけでなく、複数のシステム間の連携をスムーズにしたり、自動でレポートを出力する機能まで含めた、より本質的な課題解決の提案ができるようになります。
この「問い」から始まるプロセスは、まるでお客様と共同で「最高のサービス」を探求していく旅のようなものです。
僕が提供するのは、ただのコードではありません。 「問い」を通じてお客様のビジネスの本質を理解し、本当に必要なシステムを一緒に創り上げるという、価値ある体験です。
元教師というキャリアで培った「問いかける力」は、エンジニアとしての僕にとって、お客様の信頼を築き、期待を超えるサービスを提供するための最大の武器だと感じています。