【松野翔太:堺市/教師】コードで作る学び場
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ある日、クライアント先で業務効率化のツールを導入していたとき、ふと思いました。教室で生徒たちと向き合っていた頃と、自分が今向き合っている画面の向こう側の人々と、やっていることは本質的に同じだと。相手が何を必要としているかを観察し、丁寧に説明し、少しずつ変化を促す。それはプログラムの動作確認と同じリズムで、目の前の人の「できた!」を引き出す作業です。
教育現場では、失敗しても挑戦することの大切さを伝えました。今はコードを書きながら、クライアントが思い描く理想の業務フローを一緒に作る。最初は慣れないシステムや操作に戸惑っても、段階を踏んで説明し、改善の提案をすることで、自然と業務が回り始めます。その瞬間、教室で生徒が目を輝かせて理解したときの顔が脳裏に浮かびます。
ある中小企業の案件では、日々の作業が複雑で手間取っていた業務を、自動化スクリプトで改善しました。最初は「本当にうまくいくのか」と不安そうだった担当者も、ツールが正しく動いた瞬間、思わず笑顔に。こうした体験を通じて、私は気づきます。教育も開発も、相手の成長や成果を引き出すことがゴールであり、手段は異なれど本質は同じなのです。
独立してフリーランスとして活動する今、私は単にシステムを作るだけでなく、クライアントと一緒に学び、考え、成長する時間を大切にしています。相手の立場に立つ力、課題を丁寧に分解する力、粘り強く改善を試みる力――教師時代に培ったスキルは、今も私の開発現場で生きています。これからも、コードを通じて「学び場」を作り続けたいと思います。