ある種の長寿タイトルや、かつて大きな成功を収めたスマートフォン向けゲームを見ていると、共通した特徴が見えてきます。
それらは時代やタイミングに恵まれ、多くのユーザーを獲得し、結果として非常に大きな成功を収めました。
ゲーム性としては、即時的な楽しさや分かりやすい刺激、短いサイクルでの達成感、勝敗や競争といった要素が中心です。
世界観や物語、キャラクター同士の関係性といった要素は、必ずしも主軸ではありません。
こうしたタイトルが成功した理由は、「SPタイプに刺さる設計だったから」というだけでは説明しきれません。
当時としては新しく、操作感や遊び方に分かりやすい面白さがあり、結果としてマス層を一気に取り込めたことが大きかったように思います。
いわば、先行者利益に近い状況でした。
一方で、長期的にサービスを支えている層を考えると、実際に最も多いのはSJタイプではないかと感じます。
流行していた時期に、友人や周囲の影響で触れ、そのまま定着し、日常のルーチンとして遊び続けている層です。
一度生活の一部になると、極端な変化がない限り離れにくく、結果として今も遊び続けているケースは少なくないでしょう。
コラボ施策とも、この傾向は重なります。
既に知っているキャラクター、見覚えのあるIPに対する安心感は、SPタイプだけでなくSJタイプにも強く作用します。
「新しいから」ではなく、「分かるから」「慣れているから」という理由で受け入れられる側面です。
ここで一つ、構造的な問題が見えてきます。
これらの成功例は、その時代、そのタイミングでマス層を獲得できたから成立したものであり、同じことが常に再現できるわけではありません。
SPタイプに強く刺さるものが何になるかは、時代性や運の要素が大きく、事前に予測するのが非常に難しい領域です。
結果として、「数を打つことで当たりを引く」戦略になりやすく、失敗を前提とした量産が必要になります。
これは資本力や体制に余裕のある企業でなければ、なかなか取りづらい選択です。
似た構造は、かつて急速に普及したSNSサービスなどにも見られます。
現実の人間関係をそのまま持ち込み、当時は新しく、多くの人に受け入れられました。
しかし現在、それを支えているのは、主にSJタイプの「動かない層」であり、そこからさらに大きく拡張できるかというと、簡単ではありません。
競合が現れても、同じ理由でユーザーが動かないため、奪い合いも起きにくい状況です。
こうした構造を踏まえると、小〜中規模の開発体制で、SPタイプ向けの施策だけを打ち続けるのは、コストパフォーマンスも再現性もあまり良くないように見えます。
初動で一時的な注目を集めることはできても、継続的な拡大を狙うのは難しいケースが多いでしょう。
SPタイプ向けのゲームで成功を狙うとすれば、多くの失敗を織り込んだうえで、単発タイトルを数多く出し続けるしかありません。
それは、時代性・タイミング・運の要素が強く、どうしても分の悪い賭けになりやすいからです。
もちろん、当たったときのリターンは非常に大きい。
そのため、資本力のある企業ほど、この領域を狙い続けます。
結果として競争は激しくなり、いわゆるレッドオーシャンになりやすい。
こうした前提を踏まえると、小〜中規模のゲーム開発では、SPタイプ向けの施策を連打するよりも、まずはNPタイプやNJタイプが反応しやすい要素――
物語、世界観、関係性、解釈の余白――
を丁寧に積み上げていくほうが、構造的には無理が少ないように思えます。
SPタイプは、基本的に定着しにくい傾向があります。
勝てている、目立てている、流行の中心にいる、といった条件が揃っている間は強い熱量を持ちますが、それが崩れると離れやすい。
だからこそ、土台が整ってから、余力としてSP向け施策を重ねていく、という順序のほうが自然ではないでしょうか。