独立して一級建築士として働くメリット/苦労
独立して一級建築士として働くメリット/苦労
──向井聡一・自営建築士の仕事記録
一級建築士として独立してから、ありがたいことに多くのお客様と直接つながり、さまざまな現場を経験してきました。
「独立して良かった」と思う瞬間もあれば、「これは覚悟がいるな」と感じる局面もあります。
今日はその両面について、率直に書いてみたいと思います。
◆ 独立して働くメリット
1. お客様と“最初から最後まで”向き合える
会社勤めの頃は、分業が進んでいたため、お客様と直接お話する時間が限られていました。
独立してからは、
- 初回ヒアリング
- 設計
- 現場管理
- 引き渡し
まで一貫して関わることができます。
「この家、あなたに頼んで良かった」と言っていただいたときの喜びは、何にも代えがたいものです。
2. 自分の理念が仕事に反映される
独立後は、自分が大切にしたい価値観を、仕事にそのまま反映できます。
- シンプルで長持ちする家
- 動線が自然な間取り
- 無理のない予算で最大の満足を
- 地域や環境に寄り添う設計
そういった“自分らしさ”を丁寧に形にできることは、独立の大きなメリットです。
3. 時間の使い方を自分で決められる
現場が重なる時期は忙しいものの、自営だからこそ働き方の裁量はあります。
平日に現場を回り、週末は家族と過ごす——
そんなバランスも、自分で調整できます。
4. お客様とのつながりが深まる
独立すると、紹介で仕事をいただくことが増えます。
地域の方々とのご縁が広がり、建物だけでなく暮らしそのものを共有できる。
これは、小さな事務所だからこそ得られる豊かさだと感じています。
◆ 独立して働く“苦労”もあります
1. すべての責任を自分で負う
独立後は、設計ミスもクレーム対応も、すべて自分の肩にのしかかります。
「なんとかします」と言える強さと覚悟が求められます。
2. 経営者としての仕事が増える
建築士であると同時に、経営者でもあります。
- 見積作成
- 資金管理
- 税務対応
- 集客
建築以外の事務作業が意外と多く、最初は戸惑う人も多い領域です。
3. 仕事量の波に向き合う必要がある
忙しい月もあれば、静かな月もあります。
その波に振り回されず、淡々と積み上げる力が求められます。
4. 技術のアップデートを怠れない
独立していると、誰も背中を押してくれません。
新しい法規、素材、工法、設備…
自ら進んで学び、現場に取り入れる姿勢が欠かせません。
◆ それでも、独立して良かったと思う理由
結局のところ、この道を選んで良かったと思えるのは、
“建てた建物が、お客様の人生に静かに寄り添い続ける”
その手応えを、ダイレクトに感じられるからです。
独立は決して楽ではありません。
けれど、そこには建築士としてのやりがいが凝縮されています。
これからも誠実な仕事を積み重ねながら、一つひとつの現場を大切にしていきたいと思います。