(商業施設実績・施工監理ポイント)
(商業施設実績・施工監理ポイント)
図面を現場に落とし込むプロセス
今回の商業施設プロジェクトでは、設計意図を確実に実現するために、施工段階での監理を徹底しました。
設計図は「理想のかたち」を示すものですが、実際の現場では施工精度・材料特性・工期や予算との調整など、多くの要素をすり合わせる必要があります。
主な監理ポイント
- 構造精度の確認
大開口を伴うファサードでは、鉄骨柱の建て入れ精度をミリ単位でチェック。初期の施工誤差が仕上げ段階で大きな影響を及ぼすため、早い段階で修正を促しました。 - 設備配管と意匠の取り合い
厨房やバックヤードでは、ダクトや配管ルートが想定以上に複雑化しがちです。現場で施工図を突き合わせながら、天井裏の納まりを再検討し、意匠的な仕上がりを損なわない調整を行いました。 - 仕上げ材の施工管理
木質仕上げや左官材は、サンプルと実物で質感が異なることがあります。そのため、施工前に必ず「現場モックアップ」を作成し、施主と共に確認。空間全体の雰囲気を共有した上で本施工に移りました。 - 安全と動線の確認
現場では工事関係者の作業動線が複雑化します。工事中から「来客動線」を意識して仮設を組むことで、将来の運営に近い視点で仕上げ精度を確認することができました。
監理を通じての気づき
監理業務は「図面通りに作らせる」ことではなく、現場の知恵を取り込みながら設計意図を守り抜く調整役だと改めて実感しました。
完成した空間の質は、設計図だけでなく、施工段階での対話と判断の積み重ねによって決まります。
今回の施設も、オーナー様・施工者・設計者が一体となり、地域に長く愛される「集いの場」として形づくられたと感じています。