【高倉友彰】「チーム」を繋ぐ見えない糸
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フリーランスと聞くと、一人で黙々と仕事をしているイメージが強いかもしれません。確かに、物理的には一人でデスクに向かうことが多いです。しかし、僕は日々、複数の「チーム」に所属している感覚で働いています。
僕の仕事は、お客様のビジネス課題を技術で解決すること。要件定義から開発、運用まで一貫して関わります。その過程で、お客様の会社の担当者、デザイナー、マーケティング担当者など、さまざまな職種の人々と密に連携を取ります。
僕はフリーランスですが、決して「外の人」ではありません。プロジェクトが動き始めると、僕はそのチームの一員になります。お客様のチーム、開発メンバーのチーム、そして僕自身がお客様の課題を解決するために作り上げる「仮想のチーム」。いくつものチームが、まるで目には見えない「糸」で繋がっているような感覚です。
この「見えない糸」を強く、しなやかに保つことが、プロジェクトを成功させる鍵だと僕は考えています。
例えば、開発の初期段階で僕が要件定義を行う際、お客様の担当者の方と綿密なコミュニケーションを取ります。この時、僕はただ話を聞くだけでなく、その方が本当に解決したい「本質的な課題」は何かを深く探るように心がけています。僕の技術力でできること、できないことを明確に伝え、双方の期待値をすり合わせる。これにより、お客様との間に信頼という名の「糸」が生まれます。
また、開発フェーズに入ると、僕は「プログラミング言語の通訳者」のような役割を担うこともあります。お客様のビジネス要求を、エンジニアが理解できる技術的な言葉に変換し、逆に、技術的な制約や可能性を、お客様に分かりやすく説明する。このコミュニケーションが円滑に行われることで、チーム全体の一体感が強まります。
フリーランスとして独立した当初は、どうしても「一人で全てを解決しなければ」という思いが強かったのですが、経験を積むうちに、むしろ「チームの力」を最大限に引き出すことが、自分の価値であると考えるようになりました。
僕たちは物理的に同じオフィスにいなくても、SlackやGoogle Meet、GitHubなどのツールを通じて、常に繋がっています。それぞれの専門性を持ち寄って一つのゴールを目指す。その中で、僕がそのチームにとって、なくてはならない「一本の糸」になれたとき、この働き方を選んで本当に良かったと感じます。
僕が今携わっているプロジェクトも、まさにその最中です。様々な分野のプロフェッショナルが、見えない糸で強く結ばれて、一つの未来に向かっている。この「チーム」を動かす楽しさは、何物にも代えがたいものです。