【山本達也:千葉県/市川市】オフィスで育てる小さな森 僕が緑とデータに夢中になった理由
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入社して間もない頃、オフィスの片隅に置かれた一つの小さな鉢植えに目が止まりました。それはただの観葉植物ではなく、土の湿度や光の量、成長スピードをセンサーで計測できるスマートプランツでした。最初は「オフィスに植物?癒し系のアイテムかな」と軽い気持ちで近づいたのですが、この小さな緑との出会いが、自分の働き方や日常の過ごし方を大きく変えるきっかけになるとは思いもよりませんでした。
スマートプランツのデータを確認すると、毎日の光の量や水分量に応じて葉の色や成長速度が微妙に変化していることがわかります。朝、デスクに着くとまず植物の状態をチェックするのが日課になり、その日一日の仕事のリズムを考えるようになりました。例えば葉が少ししおれているときは、集中作業を短めにして休憩を取り入れる。水分が足りないと感じたら、自分も水分補給を意識する。気づけば植物と自分の生活が連動しているのです。
同僚にもこの小さな森を紹介すると、みんながそれぞれの方法で植物を観察し始め、オフィス全体がちょっとした研究室のようになりました。誰がどの植物にどんなケアをしたかのデータを見ながら、情報を共有してコミュニケーションが生まれる。植物を育てることが、ただの癒しではなく、チームビルディングや生産性向上につながることに気づきました。
ある日、植物の成長データを分析していたとき、ちょっとした発見がありました。日の当たり方やデスクの位置によって成長速度が変わるだけでなく、人の動きや話しかけ方によって葉の色が微妙に変わる傾向があったのです。これは単なる偶然かもしれませんが、仕事の合間の声かけやちょっとした気配りが、オフィスの環境を左右するのだという新しい視点を与えてくれました。
この体験を通して学んだのは、仕事やチームに必要なのは大規模なプロジェクトだけではなく、小さな観察と工夫で環境を育てる力だということです。オフィスに小さな森を置くことで、人も植物も少しずつ成長し、データと感覚を組み合わせた新しい働き方が生まれる。僕は今日も小さな緑を眺めながら、明日のチームの可能性を考えています。