<元島純貴>バグに愛される男の話
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バグに悩まされたことがないエンジニアなんて、たぶん存在しない。
でも、「バグに愛されている」と思ったことがあるエンジニアは、そう多くないかもしれない。
僕は自分を、“バグにモテるタイプ”だと思っている。
しかも、ややこしくて、原因が3層くらいに潜っているような、性格の悪いバグに。
昔から不思議だった。
同じ環境、同じ仕様、同じ言語でも、なぜか僕のプロジェクトだけ、毎回クセの強いバグに出会う。
初期はただの運の悪さだと思っていた。でも、ある時ふと気づいた。
「あれ?これ、俺が“設計で見落としてる余白”に、バグが集まってきてるんじゃないか?」と。
つまり、バグは“ミス”じゃなくて、“設計者の盲点に光を当てるサイン”だった。
そこから考え方が変わった。
バグは敵じゃない。むしろ、**“プロダクトと対話するチャンス”**だと。
「なぜ、ここで落ちた?」「この条件分岐、本当に人間らしいか?」
そんなふうにコードと喋っているうちに、単なるデバッグ作業が、まるでユーザー視点のリハーサルみたいに感じられるようになった。
バグと向き合う時間が長いほど、プロダクトは深まる。
表面的に通っているコードにも、じつは“黙ってるだけの不満”がある。
僕は今、フリーランスとして多くのWebシステムやSaaSの立ち上げに関わっている。
スピードも求められるけど、それ以上に求められるのは「バグが入りにくい設計」や「変化に強い構造」だ。
そういう時、自分が“バグに愛されてきた人生”が生きる。
なぜなら僕は、バグが生まれる空気を感じ取れるようになっているからだ。
Wantedlyを見てくれている方の中には、「完璧なエンジニア」を探している人もいるかもしれない。
でも、僕は声を大にして言いたい。
「バグとちゃんと付き合ってきたエンジニアこそ、信頼してほしい」と。
バグはただのミスじゃない。設計の会話相手であり、進化のきっかけだ。
そんな考え方に共感してくれるチームとなら、僕は喜んで一緒にコードを書く。
そして、またバグに愛されながら、より良いシステムを作っていく。