<元島純貴>コードの海を泳ぐ、そして見つけた『失われたバグ』の正体
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エンジニアとして働くうちに、仕事はどんどんルーチン化していく。コードを書き、バグを潰し、機能を実装してデプロイする——それが日常だ。だが、ある時、ふと立ち止まってみたくなる瞬間が訪れる。誰もが経験する、あの「予期せぬ転機」の瞬間だ。
その転機は、私が一度も考えたことのない場所からやってきた。ある日のこと、私は新しいプロジェクトでコードレビューをしていた。いつも通り、上司や同僚がコードの品質をチェックしていたが、その中で一つの「バグ」に目が止まった。そのバグは、いわゆる「致命的な問題」ではなかった——むしろ、微細で些細なものだった。だがその時、私の心に一つの疑問が浮かんだ。
「このバグ、本当に解決するべきなのか?」
普段なら即座に修正するようなものだが、何か引っかかるものがあった。見逃せばそのまま終わってしまう。しかし、もしそのバグを追い続けた先に何かがあるのではないか——そんな予感がした。
私は迷った。だが、決断した。
「これを追いかけてみよう。」
そのバグが引き起こす結果を予測することから始めた。コードを辿り、データベースを掘り下げ、無駄に思える小さなエラーメッセージに耳を傾ける——その先に広がっていたのは、想像以上に大きな、そして複雑な問題の世界だった。気がつけば、私はその小さなバグを追うために、何日も徹夜していた。
そして、ついにそのバグが生み出した「本当の問題」の正体が明らかになった。それは、私たちが普段見過ごしていた「データの不整合」と「ユーザーインターフェースの誤解」を引き起こしていたのだ。それらが重なり合い、まるで無意識に進行していた「小さな火種」が、実はシステム全体の不安定さに繋がっていたのだ。
私は驚いた。これまでコードの中に埋もれていたその小さな問題が、実は私たちのアプリケーションにとって致命的な影響を与えていたとは。あの「微細なバグ」を放っておいたら、システムの信頼性が崩れ、最終的に大きな問題が発生していたことだろう。
その時、私は気づいた。この瞬間こそが、私のエンジニア人生における「転機」だったのだと。
「小さな問題を見逃さないこと」
それが、今後のキャリアで最も大切にするべき哲学だと感じた瞬間だった。
その経験が教えてくれたこと——それは、目の前にある「小さな課題」を軽視しないこと。小さな問題が大きな問題に繋がるとき、私はそれに対して立ち向かうべきだと思った。その瞬間が、私を変えた。そして、これから先も「小さなバグ」を追い続けるエンジニアであり続けたいと思う。
それからというもの、私は毎日、コードを慎重に見つめ直すようになった。どんな些細なミスも見逃さない——その姿勢こそが、これからのエンジニアとしての成長に繋がると信じている。
そして、ふと思う。あの「失われたバグ」の追求がなければ、私は今もただの「コードを書く人」だっただろう。しかし、今や私は「問題を解決する人」として、新しい道を切り開いているのだ。
未来を作るのは、常に「見逃さなかった小さなチャンス」だ。あの瞬間がなければ、私は今の自分に出会うことはなかっただろう。
まとめ
あの小さなバグが私の人生を変えた。ある意味、エンジニアにとっての「転機」は、予期せぬところからやってくるものだと実感した。これからも、私は「小さな問題」に向き合い、逃げずに解決していく。どんな小さなバグにも、必ず何かを学ぶチャンスが隠れている。それを信じて、今日もまたコードの海を泳ぎ続ける。