こんにちは!城間勝行です。
先日、静かな図書館の棚を眺めていたとき、ふとある異変に目が留まりました。整然と並ぶ書籍のなかで、特定の位置にある本の背表紙だけが、少しだけ色が褪せて明るくなっていたのです。それは長い時間をかけて、窓から差し込む日光を毎日同じ角度で浴び続けた結果生まれた、鮮やかな日焼けの痕跡でした。
一見するとただの劣化や色あせのようにも思えます。しかし、棚の深くに眠る本と比べたとき、その退色には妙な存在感がありました。なぜならその本は、誰かの手にとられやすい場所にあったり、窓に近い光の通り道に置かれ続けてきたりしたという、独自の時間を過ごしてきた証だからです。同じ工程で印刷され、同じ装丁を施された一冊であっても、どこに置かれ、どのような光を浴びたかによって、まったく異なる表情を獲得していくという事実に、強い興味を惹かれました。
この現象は、私たちが日々取り組んでいる仕事や、キャリアの積み重ね方とも非常によく似ています。組織やプロジェクトという共通の環境の中にいても、どの役割を選び、どのような課題と向き合ってきたかによって、人それぞれが得る経験や雰囲気は少しずつ変化していきます。自分が意図して光の当たる場所へ足を踏み出すこともあれば、偶然配置された場所で思いがけない影響を受け続けることもあるでしょう。
どんな環境でどんな経験を浴びてきたかという積み重ねは、目に見える成果物や数字だけでなく、その人の思考の癖や立ち振る舞いという独自の質感になって表れます。日焼けした背表紙がその本の歴史を無言で語るように、私たちが試行錯誤を繰り返してきた時間もまた、周囲に対して確かな個性のグラデーションとして伝わっていくのです。変化することを恐れるのではなく、置かれた場所で刻まれる変化を受け入れることが、自分だけの深みを作り出すのかもしれません。
色あせた一冊の本を棚に戻しながら、これまでに自分がどのような光を浴び、どんな時間を重ねてきたのかを静かに振り返りました。自分という存在がまとう風合いを大切にしながら、これからも変化を楽しんで歩んでいきたいと思います。