【城間勝行】僕がSIerを辞めて見つけた「幸せな開発」
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皆さん、こんにちは。フリーランスのシステムエンジニア、城間勝行です。
今回は少し僕自身のキャリアの話をさせてください。僕は新卒で大手SIerに入社し、約8年間、大規模な業務システムの開発に携わってきました。数千人が使う基幹システムや、何年にもわたる長期プロジェクトなど、スケールの大きな仕事に関われたことは、僕にとって大きな財産です。
SIerでの仕事は、まるで巨大な船を動かすようなものでした。多くの人が関わり、決められた航路を慎重に進んでいく。要件定義から始まり、何重ものレビューを経て設計書を固め、実装、テスト、そしてリリース。その一つ一つの工程を丁寧に、確実にこなしていく。それはそれで面白かったのですが、次第に僕は「もっと違う開発がしたい」と思うようになりました。
僕が感じていたのは、「作ること」と「使われること」の距離です。
SIerの仕事では、クライアントから要件を頂いて、それを形にするのが基本です。もちろん、要件の意図を汲み取って提案することもありますが、ユーザーの反応をダイレクトに感じる機会はなかなかありませんでした。リリース後も、ユーザーの声が届くのは保守運用のチームで、開発者は次のプロジェクトへ。まるで、船を造って引き渡したら、そのまま次の船台に向かうような感覚でした。
そんな僕が独立して飛び込んだのは、スタートアップの世界でした。そこで待っていたのは、真逆の環境でした。
要件は固まりきっていない。ロードマップは常に変動する。僕らのチームは、たった数人で、毎日ユーザーからのフィードバックに耳を傾け、仮説を立て、小さな機能を実装しては、その反応を見る。うまくいけば機能を育て、うまくいかなければ潔く捨てる。まるで、スピードボートに乗って、荒波の中を自由に走り回るような感覚でした。
このスタイルで開発をしていく中で、僕は**「使われる喜び」をダイレクトに感じられる幸せ**を知りました。
リリースした機能に対して、すぐにTwitterで「便利になった!」という声が上がったり、ユーザーから直接「この機能、最高です!」というメッセージをもらったりする。その瞬間、自分が作ったものが、本当に誰かの役に立っていることを実感できます。この感覚は、大規模なシステムを完成させた時とはまた違った種類の達成感でした。
SIerでの経験は、堅牢なシステムを構築するための基礎を僕に与えてくれました。そして、スタートアップでの経験は、ユーザーに寄り添い、価値を素早く届けることの重要性を教えてくれました。
どちらの開発スタイルが良い、悪いということではありません。僕が独立して見つけたのは、「自分が一番ワクワクする開発スタイル」でした。
これからも、この「使われる喜び」を大切にしながら、より多くのユーザーに価値を届けられるようなプロダクトを、誠実に、そしてスピード感を持って作っていきたいと思っています。
 
 
