イベントに参加しても、なぜ何も残らないのか。イベニオをつくり始めた理由
目次
まず、イベニオとは何か
きっかけは、東京のランクラブでした
イベニオは、ただのイベントアプリではありません
リアルな参加には「記録」と「価値」があっていい
小さな改善が、思わぬ価値を生む
日本とアメリカを行き来して育ったからこそ見えたこと
ビジネスアナリストとして見てきた「分断された業務」
ハードワークから学んだこと
コミュニティは、都市のインフラになる
まず支えたいコミュニティ
イベニオが目指す未来
最後に
はじめまして。イベニオ株式会社代表取締役 / CEOの今西 卓です。
今回、Wantedlyでは初めて、私たちがつくっている「イベニオ」について紹介したいです。
これまでLinkedInやインスタなどで少しだけ発信してきましたが、まだイベニオについて、自分の言葉でしっかり説明する機会が多くありませんでした。
なので今回は、単なるサービス紹介ではなく、なぜこの事業を始めたのか、どんな課題を見ているのか、そしてイベニオを通じてどんな世界をつくりたいのかを書いてみたいと思います。
まず、イベニオとは何か
イベニオは、リアルなコミュニティ・イベント・メンバーシップを支える「Community OS」です。
- イベントを作成する。
- 参加者を集める。
- 当日チェックインする。
- 参加履歴を残す。
- メンバーとして関係性を深める。
- 継続参加や貢献をリワードにつなげる。
こうしたコミュニティ運営の流れを、ひとつの体験としてつなげるプラットフォームをつくっています。
一言で言うと、イベニオは
人が外に出て、コミュニティに参加し、また戻ってきたくなる仕組み
をつくる会社です。
ただ、最初から「Community OSをつくろう」と考えていたわけではありません。
きっかけは、もっと個人的で、もっと日常的なものでした。
東京でランクラブに参加していた時に感じた、小さな違和感です。
きっかけは、東京のランクラブでした
イベニオのアイデアは、東京のランクラブに参加していた時の体験から生まれました。
毎週のようにイベントに参加して、走って、人と会って、少しずつそのコミュニティの一員になっていく。
その時間は、とてもリアルで価値のあるものでした。
ただ、イベントが終わると、その参加体験の多くはどこにも残りません。
- 自分がどのコミュニティにどれくらい参加してきたのか。
- 誰が同じイベントに来ていたのか。
- どの場所に何度も戻っているのか。
- 自分とそのコミュニティとの関係が、どう深まっているのか。
意外と、それを見える形で残す場所がありませんでした。
一方で、主催者側にも課題があります。
多くのコミュニティでは、インスタで告知し、Google Formsで申込を受け付け、スプレッドシートで参加者を管理し、LINEやDMで連絡し、必要に応じて別のツールで決済やチケット管理をしています。
もちろん、それぞれのツールは便利です。
ただ、コミュニティが大きくなるほど、運営は少しずつ複雑になります。
- 誰がよく参加しているのか。
- 誰がメンバーになりそうなのか。
- どのイベントが継続参加につながっているのか。
- どの参加者にどんな特典を渡すべきなのか。
本当は大事な情報なのに、複数のツールに分散してしまう。
イベニオは、そこに課題を感じて生まれました。
イベニオは、ただのイベントアプリではありません
イベントアプリと聞くと、多くの人は「イベントを探す場所」や「チケットを買う場所」を想像すると思います。
もちろん、イベントの発見や参加申込は大切です。
でも、イベニオが見ているのは、その先です。
- 一度参加した人が、また戻ってくる。
- 何度も参加することで、コミュニティとの関係が深まる。
- 参加履歴が残り、メンバーとして認識される。
- 貢献や継続参加が、リワードや特典につながる。
- 主催者が、そのデータを使ってより良い運営ができる。
この流れ全体を支えるのが、イベニオの考える「Community OS」です。
イベントは入口です。
でも、本当に大切なのは、イベントの後に何が残るかだと思っています。
リアルな参加には「記録」と「価値」があっていい
私たちは、リアルな参加にはもっと価値があっていいと考えています。
- 毎週ランクラブに参加する人。
- 道場やジムに通い続ける人。
- ヨガクラスに何度も戻ってくる人。
- 友人を誘ってイベントに来てくれる人。
- 小さなコミュニティを支えている常連の人。
こうした人たちの行動は、コミュニティにとって大きな価値があります。
ただ、多くの場合、その貢献は主催者の記憶や感覚に頼っています。
「あの人、よく来てくれるよね」
「最近、あの人見ないね」
「この人はそろそろメンバーになってくれそう」
そうした感覚はとても大切です。
でも、コミュニティが大きくなるほど、記憶だけで管理するのは難しくなります。
イベニオでは、QRチェックイン、参加履歴、メンバー管理、リワード機能を通じて、そうした参加の積み重ねを自然に残せるようにしたいと考えています。
「来てくれてありがとう」
「また戻ってきてくれてありがとう」
「いつも支えてくれてありがとう」
そういう気持ちを、ただの言葉だけではなく、運営の仕組みとして表現できるようにしたい。
それが、イベニオの大切な考え方のひとつです。
小さな改善が、思わぬ価値を生む
この考え方は、自分自身の経験からも来ています。
私は子どもの頃、体があまり強い方ではありませんでした。喉を痛めやすく、扁桃炎や溶連菌などで体調を崩すこともよくありました。
ある時、医師から扁桃腺を切除する選択肢をすすめられたことがありました。
でも、自分としてはそれを選びたくありませんでした。
そこで、体を強くするために走り始めました。
最初の目的は、ただ健康になることでした。
でも、走り続けるうちに、別の変化が起きました。
体力がつき、走るのが速くなり、学校のマラソン大会でも前の方に入れるようになりました。もともとは真ん中くらいだった自分が、気づけばクラスの中でも上位に入るようになっていました。
その経験から、ひとつ学んだことがあります。
ひとつの問題を改善すると、価値はひとつだけでは終わらないということです。
健康になるために走った。
すると、足が速くなった。
足が速くなると、自信がついた。
自信がつくと、人との関わり方も少し変わった。
ひとつの改善が、次の価値を生み、その価値がまた別の価値につながっていく。
この考え方は、イベニオのプロダクトづくりにもつながっています。
たとえば、チェックインを簡単にする。
それは一見、受付の時間を短縮するだけの機能に見えるかもしれません。
でも、チェックインが簡単になると、正確な参加履歴が残ります。
参加履歴が残ると、常連やロイヤルメンバーが見えてきます。
メンバーが見えると、リワードや特典を設計できます。
特典があると、継続参加のきっかけが生まれます。
継続参加が増えると、コミュニティの価値が高まります。
コミュニティの価値が高まると、スポンサーやブランドコラボの可能性も広がります。
小さな運営改善が、大きなエコシステムにつながっていく。
イベニオでは、この連鎖を大切にしています。
小学校体育祭
日本とアメリカを行き来して育ったからこそ見えたこと
私は、アメリカのオハイオ州で生まれ、日本とアメリカを行き来しながら育ちました。
千葉、大阪、ワシントン州、東京。
環境が変わるたびに、言語も、文化も、人間関係も、学校の雰囲気も変わりました。
新しい場所に入るたびに、自分がどう振る舞うべきか、どうすれば受け入れてもらえるのか、どうすればその場に馴染めるのかを考える必要がありました。
だからこそ、「コミュニティに入る」ということの難しさも、価値も、よくわかります。
日本には、深くて魅力的なコミュニティがたくさんあります。
ランニング、武道、ヨガ、音楽、アート、スタートアップ、語学、食、地域活動。
ただ、その入口が見えにくいこともあります。
特に東京のような都市では、人はたくさんいるのに、自分が本当に入りたいコミュニティを見つけるのは簡単ではありません。
そしてこれは、日本人だけの課題ではないと思っています。
日本に住む外国人や、海外から来る人たちの中にも、日本のローカルな活動やコミュニティに参加したい人は多くいます。
ただ、言語や文化、情報の見つけにくさが壁になることがあります。
イベニオは、「外国人向けのサービス」ではありません。
私たちが目指しているのは、日本にあるコミュニティが、より自然に、より運営しやすく、より多様な人を迎え入れられる状態です。
日本人にも、外国人にも、主催者にも、参加者にも使いやすい。
そのバランスを大切にしたいと考えています。
2019年米軍
ビジネスアナリストとして見てきた「分断された業務」
イベニオをつくる上で、自分のビジネスアナリストとしての経験も大きく影響しています。
私は日本のIT業界で、通信、EC、ヘルスケア、保険、Webアプリケーションなど、複数のプロジェクトに関わってきました。
ビジネスアナリストの仕事は、単に要件を書くことではありません。
現場で何が起きているのかを理解し、関係者の間にある認識のズレを整理し、業務フローを見える化し、ユーザーやビジネスにとって本当に必要なものを形にしていく仕事です。
その中で、私は多くの「分断された業務」を見てきました。
便利なツールはある。でも、ツール同士がつながっていない。
担当者は頑張っている。でも、手作業が多すぎる。
データは存在している。でも、意思決定に使える形になっていない。
これは、コミュニティ運営にもよく似ています。
主催者は情熱を持っている。
参加者も集まっている。
イベントも開催されている。
でも、運営の仕組みは分散している。
イベニオは、そこを整理したい。
情熱に頼りきった運営ではなく、情熱を支える仕組みをつくりたい。
それが、ビジネスアナリストとしての自分の経験から見えてきた課題です。
ハードワークから学んだこと
私の経歴は、きれいな一本道ではありません。
学生時代にはマクドで働き、接客やスピード、現場の大変さを学びました。
アメリカでは、夏になると父に木を割る仕事を頼まれていました。当時はかなり大変でしたが、今振り返ると、あの経験は自分にとって大きかったと思います。
木を割る作業は、派手ではありません。
一本ずつ割る。
積み上げる。
また次を割る。
終わりが見えないように感じる日もあります。
でも、少しずつ進めると、気づけば山が小さくなっている。
会社づくりも、プロダクトづくりも、それに近いと思っています。
ビジョンは大切です。
でも、毎日の仕事はとても地道です。
- ユーザーの声を聞く。
- 要件を整理する。
- 画面を直す。
- バグを修正する。
- 価格を考える。
- 導入先を探す。
- メッセージを磨く。
- またユーザーに聞く。
結局、会社づくりも一本ずつ木を割るようなものだと思います。
派手な瞬間だけではなく、地味な積み重ねが未来をつくります。
コミュニティは、都市のインフラになる
私は、コミュニティは都市にとって大切なインフラだと考えています。
道路や電車、建物だけが都市のインフラではありません。
- 人が安心して参加できる場所。
- 仕事以外の自分でいられる場所。
- 趣味を通じて人とつながれる場所。
- 何度も戻ってきたくなる場所。
そうしたコミュニティも、都市を支える大切なインフラだと思います。
東京には、そうした可能性がたくさんあります。
ただ、まだ多くのコミュニティは、運営面で十分なデジタル支援を受けられていません。
大企業向けのSaaSはたくさんあります。
EC向けのツールもたくさんあります。
予約システムや決済ツールもあります。
でも、小さなコミュニティや成長途中の組織が、イベント、メンバー、参加履歴、リワード、分析を一体で管理できる仕組みは、まだ十分ではないと感じています。
イベニオは、そこに挑戦します。
まず支えたいコミュニティ
イベニオでは、まずリアルな継続参加があるコミュニティを支援していきたいと考えています。
たとえば、ランクラブ。
BJJや武道の道場。
ヨガやウェルネス系のスタジオ。
ジムやフィットネスコミュニティ。
スタートアップや勉強会。
学生・社会人サークル。
ポップアップイベントやクリエイター主導のコミュニティ。
こうしたコミュニティでは、一回限りの参加だけではなく、継続参加やメンバー化が重要になります。
だからこそ、イベニオの価値が出やすいと考えています。
イベニオが目指す未来
イベニオが目指しているのは、イベントを便利にするだけではありません。
人がコミュニティに参加しやすくなること。
主催者が運営しやすくなること。
参加履歴や貢献が自然に残ること。
継続参加がリワードやメンバーシップにつながること。
スポンサーやブランドが、コミュニティにとって意味のある形で関われること。
そうした未来をつくりたいと考えています。
参加する人にとっては、自分のリアルな活動が積み上がっていく場所。
主催者にとっては、コミュニティを運営し、育て、収益化するための基盤。
ブランドやスポンサーにとっては、ただ広告を出すのではなく、実際に活動しているコミュニティを支援できる場所。
この3つがつながることで、イベニオはただのイベントツールではなく、リアルなコミュニティ経済を支えるプラットフォームになれると考えています。
最後に
イベニオで実現したいのは、イベントを便利にすることだけではありません。
人が自分に合うコミュニティを見つけ、安心して参加し、また戻ってきたくなる流れをつくることです。
そして、主催者がその場を継続的に育てていけるように、運営を支える仕組みを整えていきたいと考えています。
- 何度も参加してくれる人。
- 友人を連れてきてくれる人。
- 場の雰囲気をつくってくれる人。
- コミュニティを少しずつ支えている人。
そうした一人ひとりの参加や貢献は、本来もっと見える形で残っていいはずです。
参加履歴が残ることで、関係性が見える。
関係性が見えることで、継続参加やメンバーシップにつながる。
そして、コミュニティがより強く、運営しやすいものになっていく。
イベニオは、その循環をつくるためのプラットフォームです。
リアルな参加が、ただの一回のイベントで終わらず、次のつながりや価値につながっていく。
そんな世界を、東京から少しずつ形にしていきたいと思っています。