【本田教之】反対意見をあえて言わない理由
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僕が仲間とのコミュニケーションで意識していること。それは「反対意見をあえて言わないこと」です。え?と思うかもしれませんが、これが意外にも効果的なんです。
まず、これを言うと少し驚かれるかもしれませんが、エンジニアとして20年近くの経験を積んできて、最も大切だと思うのは「アイデアが育つ環境を作ること」なんです。特にチーム内でのコミュニケーションにおいて、あえて反対意見を言わずにアイデアを出し合うことが、長期的な成功に繋がると確信しています。
例えば、仲間が何か新しいアイデアを提案してきたとき、普通なら「それ、ちょっと難しいんじゃない?」とか「こうした方がいいんじゃないか?」と反応しがちです。でも、僕はその時、「まずはそのアイデアを完全に受け入れてみる」ことにしています。反対意見は後回し。まずはそのアイデアがどこまで膨らむのか、どう進化するのかを見守るんです。
これを始めたきっかけは、あるとても面白い気づきからでした。それは、僕がチームのミーティングで「いや、それは難しいだろうな」と言った途端、誰かが萎縮してしまう場面を何度も目にしたからです。反対意見を最初に言うことで、メンバーが思いきって意見を出せなくなる瞬間を目の当たりにしました。そこで気づいたんです。意見を反対してしまうことで、むしろ新しいアイデアの芽を摘んでしまっているのだと。
だからこそ、僕は最初の段階では「絶対に反対しない」ことを意識しています。これ、なかなか最初は難しいんですが、一度実行してみると意外と心地よい空気が生まれるんです。アイデアがどんどん出て、次第にみんなの発言が活発になっていく。もちろん、後から「このアイデアはどう考えても無理じゃないか?」という場合も出てきます。そこで初めて、フィードバックをするんです。それが、チーム全体にとって良い学びになる瞬間です。
もう一つ、この方法を通して気づいたのは、「完璧な答えは最初から出てこない」ということです。アイデアは最初は粗くてもいい。どんどん議論を重ねることで、みんながアイデアを共有し、ブラッシュアップしていく。そのプロセス自体がチームの結束力を高め、クリエイティブな力を引き出してくれるんです。
また、チームメンバーの意見を最初に全面的に受け入れることで、彼らが自信を持って意見を言えるようになるのも大きなポイントです。「自分の意見が受け入れられた」と感じることで、次回からももっと自由に、思い切りアイデアを出してくれるようになります。その結果、チーム全体が「建設的な意見交換」をするための土壌が整うんです。
さらに言うと、この方法は技術的な問題解決にも通じる部分があります。エンジニアとしての視点で言えば、システムの問題に直面したとき、最初に反対してしまうと、それが新しい解決策を見つけるチャンスを逃してしまうことがよくあります。試行錯誤の中で問題をクリアにしていく過程が大切だからこそ、最初は無理に「これが正解だ」と決めつけず、柔軟にアイデアを出していくことが重要だと思っています。
反対意見を言わないという方法は、ただ単に意見を押し通すことではありません。むしろ、その逆で、全員が自由に発言できる環境を作ることで、最終的に最良の解決策を見つけることができるのです。
仲間とのコミュニケーションにおいて、大事なのは「全ての意見を受け入れる心の広さ」だと感じています。最初に反対しないことで、チームの力を最大限に引き出し、共に成長していけるんです。