「定時で帰る人」の背中を全力で押す理由
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こんにちは!本田教之です。
二十年もの間、システム開発という名の戦場でキーボードを武器に戦ってくると、強いチームの定義が少しずつ変わってきました。かつての私は、深夜まで明かりが灯るオフィスこそが情熱の証であり、誰よりも長く椅子に座っていることが責任感の表れだと信じていました。しかし、今の私が理想とするのは、誰よりも早くカバンをまとめ、涼しい顔で「お疲れ様でした」とオフィスを去っていくメンバーです。なぜなら、最短距離で仕事を終わらせて自分の人生へと帰っていく人の背中にこそ、これからの時代のリーダーシップと、組織を自走させるための本当の強さが宿っていると確信しているからです。
多くの企業が、社員の個性を生かして自律的に動く組織を作りたいと願っています。しかし、その実態は、終わりの見えない会議や、誰に向けたものか分からない報告書で溢れ、個人のエネルギーは霧散しています。私が大手メーカーで経験したのは、規律という名の鎖で縛られ、全員が同じ速度で歩くことを強要される世界でした。そこには安心はありましたが、一人ひとりが自分の強みを爆発させるような熱狂はありませんでした。私が作りたいのは、108人の荒くれ者が集まった梁山泊のような、それでいて一つの大きな目的に向かって各自が勝手に走り出す、心地よいカオスを持ったチームです。
定時に帰るためには、自分の持ち場を完璧に把握し、優先順位を自分で決め、周囲と連携しながら最短ルートを切り拓く力が必要です。これは、上からの指示を待つだけの人には決してできない、高度に知的な自律行為です。早く帰って家族と夕食を囲んだり、あるいは全く関係のない趣味に没頭したりする。その「非効率な時間」で得た新しい視点や感性が、翌日の仕事に予想もしなかった突破口をもたらします。システムの中にわざと余白を残すように、人生の中にも意図的な空白を作る。その空白があるからこそ、人は初めて自分らしく、そしてクリエイティブに動けるようになるのです。
デジタルな正確さを追求するプロだからこそ、私たちは人間という不確定で豊かな存在を信じ抜きたいと考えています。誰かが足りない部分は他の誰かが埋め、得意なことで誰かの背中を支える。そんなフラットで温かい、それでいて勝負どころでは一致団結して牙を剥く。そんな多種多様な生き方が許容される場所であれば、組織は勝手に成長を始めます。私はこれからも、冷たいコードを書きながらも、そこに住まう人々の体温を感じられるような、優しくて強靭な仕組みを追求していきます。もしあなたが、今の場所で自分の個性を隠して息を潜めているなら、一度その「自分らしさ」という武器を持って、私たちの門を叩いてみてください。