言語学からデザインへ。トルコから日本へ続く「美術」の旅
私のキャリアの出発点は、実はデザインではありません。
トルコで言語学と文化研究を学び、言葉や文化、物語が社会にどのように影響するのかを探求していました。アートや工芸、建築にも興味はありましたが、それらは当時「好きなもの」であって、自分の道になるとは思っていませんでした。
そんな私の人生が大きく変わったのは、日本政府の奨学金(MEXT)を受けて来日し、大学院で文化とデザインを横断して研究する機会を得たことでした。
日本の伝統工芸、町並み保全、美意識、そして“手仕事の哲学”。
それらに触れるうちに、気がつけば私は「文化をデザインで未来につなげたい」と強く思うようになっていました。
大学院で学びながら、私はプロダクトデザイン、アップサイクル作品、手仕事を取り入れたコンセプト作品、そしてグラフィックやブランドデザインなど、幅広い創作に挑戦し始めました。最初は完全な初心者でしたが、文化研究で培った観察力やストーリーテリングの視点が、デザインにも自然と生かされていることに気づきました。
「なぜこの形なのか?
どんな物語を込められるのか?
誰が、どのように、どんな気持ちで使うのか?」
言語や文化を読み解く力は、今の私のデザインの基盤になっています。
日本で生活するなかで、職人技や素材の扱い方、美しいものに対する敬意を学び、デザインを“文化を未来へ受け渡す方法”として捉えるようになりました。
現在は、プロダクトデザインだけでなく、ブランドデザイン、UI/UX、グラフィックなど、表現の幅を広げながら、ストーリーのあるデザインを追求しています。
私にとってデザインは「文化 × 物語 × 暮らしをつなぐ架け橋」です。
これからも、日本という第二の故郷で、伝統や文化の価値を未来につなぎながら、心に残るデザインを生み出せるクリエイターとして成長していきたいと考えています。