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トレーダーはAIに置き換えられるだけでは終わらない ~ 執行役員インタビュー第4回

クラウドクレジットの執行役員にインタビューする企画、4回目の今回は資金運用部長としてお客様からお預かりしたお金をローンというアセットクラスに投資する重責を担いつつ執行役員として会社の運営も行っている金にインタビューを行いました。


暖かみがある人に惹かれる

杉山:なんでクラウドクレジットに興味を持ったんでしたっけ?的な質問はベタになりすぎてきたので、何かこう、もうちょっと別の質問を。。

外資系の金融機関からベンチャーに移ってきて、こちら界隈のいろいろな人に会う機会がいろいろとあったかと思いますが、すごいと思った人とかいます?

金:すごいんやろうな、という人はいますが一緒に働いているわけではないので。。

僕の場合はやはり、単純に頭が切れるんだろうなという人よりも暖かみというか人間味に惹かれるところがあります。熱量はもちながらも、みたいな。

杉山:年の功的なところですかね(笑)

金:質問とは少しずれますが、前職の同僚でベンチャー企業の執行役員として入社して現在は社長をされている方はいるので、話を聞けるのはよかったかなと思います。

杉山:P社の方ですね(笑)


ガラガラポンでもっと良いものを

杉山:執行役員としての熱い思いをどうぞ。

金:執行役員として思うのは自分個人のタスクも含めて、組織や仕組みの新陳代謝のサイクルのスピードをもっと上げていかなければ、と思っています。

みんなで作ってきたものをいい意味でぶっ壊して新しいものを作り上げるくらいは必要かなと。

これまでクラウドクレジットの仕組みを作ってこの事業モデルにおける落とし穴のありかとかを知っているメンバーと、新しく参画した専門家の視点を取り入れた新しいものを作っていきたいです。

ファンドのストラクチャも、そういった視点からより一層投資家の方の便益が高いものにしていければと思っています。


常に一番厳しい状況を想定する

杉山:次はローン運用の方についてです。どうですか。

金:一言でいうと、質の向上でしょうか。

杉山:仕組み、プロセスの質の向上ですね。

金:ソーシャルレンディングも他の運用と同様に、見た目のよさより本当に実現するリターンを追求しないといけませんよね。

運用を行っているどの案件も、厳しめの状況だとどうなるか?という視点を常に持つようにしています。「この案件は一番厳しい状況だとどうなるのか?」というのを意識するようにしています。

杉山:単に「がんばります!」と言われるより逆に安心感があるかもですね。


投資家中心の運用で新しい投資機会の創出を

金:もちろんローンの運用という特性上、一度ファンド組成のところでどういうセグメントのローンに投資を行うかが決まった時点でできることが限られているというところは実際あるのですが、為替ヘッジ取引や延滞債権の買い取り交渉など、自分の努力でリターンを改善できるところは徹底的にみています。

直接リスクをとっているのは投資家の方なので、投資家の方のために闘うという姿勢でいます。

そこがうまくまわらないと当然投資家の方の支持を頂けなくなってしまうので、そうすることが結局当社のためにもなるかと。それを一番大事にしています。

投資家の方からは運用手数料を頂いていますが、たとえば「このファンドであれば2%の運用手数料を払ってもよい」などと思っていただけるような運用を行っていきたいです。

杉山:ファンドの組成の時点でアップサイドはだいたい決まっているというのはローン投資の宿命でもあるので、いかに下方リスクをみつけて限定する努力を行うかがポイントになりますよね。

金:あとはベタですが、やはり分散投資の機会の提供ですね。たとえば20年前、30年前に当時の新興国の株式に投資をしていたら現在そのバリューはめちゃくちゃ増えているかもしれないじゃないですか。ただし1つの銘柄に投資を行っていたら地雷を踏んでぽしゃっていたかもしれない。

当社も現時点の課題はとにかく20種類程度は投資家の方に投資機会をご提供して、投資家の方が全ファンドにポートフォリオの5%ずつ均等に投資を行うとか、配分を自分で決めていけるようにするとか、その仕組みづくりへの注力の重要さは凄く感じています。

現在は先進国でゼロ金利、マイナス金利の環境が長引き本当に金利に投資を行う機会が非常に少なくなってしまったので、正しい方向に進んでいけばソーシャルレンディングはインカムゲインを得ていく資産運用の対象商品として面白い金融商品に十分なりうると思っています。


じっとしていると大多数の人はAIに置き換えられてしまう

杉山:現在マーケットに関わっていて、ベンチャー企業でのキャリアを考えている方にアドバイスがあれば。

金:ほんの少し前、今の40代、50代の方が若かったころまでは株式や債券でも市場に情報の非対称性が多くあり市場でのブローカレッジでマージンを頂くことができていたのですが、私は前職で債券のトレーディングを行っていてそれが年々なくなっていくのを強く感じました。

金融業というのは、歴史的にみても情報の格差とトランザクション機能の差から手数料をとれてきたのだと感じています。

昔は両替という単純なトランザクションでも業者と顧客の間に情報格差があったり、両替する資金の無さから商売が成り立ち、時代が進むと両替で手数料を頂くのは難しいけど今度は外国為替だと手数料がとれる、そしてまた外国為替に関しても情報を誰でも取得できるようになりスプレッドは薄くなっていくという。

どんどんマーケットの透明性が増して本当に情報の非対称性がなくなり、テクノロジーの発達でトランザクションが容易になればなるほど、ブローカレッジを行っていてもどんどんマージンはなくなってしまいます。

そうした流れの中で、高付加価値サービスでない部分はシステムで賄うというのは必然の流れだと思います。

「イチローのロボットをたくさん作ってしまえ!」といっても簡単に“イチロー(高付加価値サービス)”は再現できないですが、“イチロー”より早い球を投げるマシンは簡単に作れちゃうんですよね。そして一つ一つ“イチロー”じゃないとできない仕事以外は機械に置き換えられちゃうんです。

このようなかたちでAIがトレーダーの業務にどんどん入ってきているのだと思っています。


トレーダーの経験は新しい仕組みを作れる

杉山:僕と金さんは以前雑談で「大学生に戻れたら金融じゃなくてプログラミングやりましたかねー」みたいなことを話していた時もありましたが、ステージが進んでみて、意外と金融の経験の付加価値もみえてきてよかったですよね(笑)

やはり金融取引、トランザクションを執行出来てかつ仕組み、フレームワークが分かっているから将来キャッシュフローの推定などのリスクマネジメントに不可欠な仕組み作りもできる。

金:そこら辺はたしかにトレーダーやマーケットの知識、経験が必要な分野かもしれません。

僕らと同じ世代、30代くらい、で新卒からマーケットに入られた人たちって、少し上の世代の人達が1980年代から1990年代前半の日本での外資系金融機関のように金融の新たなフロンティアを切り開きながらリスクをとっていくことに憧れや、やりがいを少なからず持っていると思うんです。

そう考えたときに、これまでの経験を生かして挑戦できるフィールドがどこにあるのかは常に意識しておくべきだと思います。その中でトレーダーやマーケットの経験者から「次に挑戦するならあそこだ!」と思われるような業界になれるよう、常に挑戦を続けながら盛り上げていきたいと思っています。

杉山:ありがとうございました!

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