クルージングヨット教室物語246
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「それじゃ、タックするそ!」
アクエリアスのヘルムを取っている隆が皆に伝えた。
雪の指示で、アクエリアスの生徒たちはタックの準備に入った。
隆が黄色のブイをぐるりと回って方向転換、タックした。
タックに合わせて、ジブセイルのシートを外して反対側へ引き、メインセイルの向きも変える。
「レース前に何回も練習しただけあって、タックはすっかりもう慣れたな」
隆は、アクエリアスの生徒たちのことを褒めた。
「これ、追っ手に近いクオータリーぐらいの風向きだな」
隆は雪に言った。
「スピン?」
「そうだね、他のヨットに追いつかれる前に先行してスピンを上げてしまおうか」
隆が言うと、雪は船のバウに行って、スピンネーカーを上げる準備を始めた。
「小島くん、雪について行ってスピンの操作を教わっておいで」
「はい」
小島は、雪のところに移動して、スピンを上げる準備を手伝い始めた。
「これから、スピンネーカーっていう追っ手用のセイルを上げるから」
隆は、雪の手伝いしにバウへ行っている小島以外の生徒たちに説明した。
「雪が、あそこで持っているセイルがあるだろう。あのセイルを上げて、代わりにジブセイルをしまって、スピンネーカーでセイリングするから」
「あれを上げるんですか」
「ジブセイルと同じように、あのセイルの操作するためのシートがあるから」
「はい」
「そうだな、三浦さんがスピンネーカーの操作するスピンシートを引いてもらおうか」
「わかりました」
三浦は、雪が前方から指指したシートを持って待機した。
「スピンネーカーはさ、スピンシートだけじゃなくて反対側からスピンを支えるシートもあるから、スピンシートを持つ人と2人で息を合わせて、バランスよく操作するんだよ」
隆の説明で、伊賀が三浦とは反対のシートを持って待機していた。
伊賀は、横浜のマリーナの今年度クルージングヨット教室に夫婦2人で参加されていて、奥さんと2人でアクエリアスに配属となった生徒さんだった。
「ご夫婦なんですか?」
「ええ、いつかは夫婦で自分のヨットを持って乗りたいなって思っています」
「へえ、良いですね」
隆は、伊賀夫婦の2人に答えた。
「俺も、いつか良い相手と巡り合って結婚したら、奥さんと2人で乗ってみたいよ」
「まあ、今も既に奥さんと2人で毎週マリーナにきて、ヨットに乗っているようなものだけどね」
雪が隆に言った。
主な著作「クルージングヨット教室物語」「ジュニアヨット教室物語」「プリンセスゆみの世界巡航記」「ニューヨーク恋物語」「文筆のフリーラン」「魔法の糸と夢のステッチ」など
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