クルージングヨット教室物語244
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「はい、あと30秒・・」
レース記録係の瑠璃子がスタート時刻の秒読みに入った。
「5秒、はい。スタート!」
瑠璃子のカウントダウンと同時に、クラブ旗を上げていた陽子が一斉に下ろした。
「いつもスタートだけは一番なのよね」
麻美子は、スタートと同時に一番最初にスタートして行ったアクエリアスの姿を見て言った。
「確かに、そういえばいつも隆さんが一番でスタートしているね」
「でも、どんどん追い抜かれていくのよね」
麻美子は瑠璃子に言った。
「うん、いつもそうだね」
瑠璃子が笑った。
「それは仕方ないんじゃない。だって、うららとか速いレース艇多いもの」
陽子がスタート用のクラブ旗を持ってコクピットに戻ってきて、麻美子たちに言った。
「アクエリアスでレース艇のヨットには勝てないよ」
「そんなもの?」
麻美子が陽子に聞いた。
「だって、うららとか麻美ちゃんも話していたじゃない。トイレがバケツだって,それぐらい速く走るように軽くしてあるのよ」
陽子が答えた。
「そうなのか。私は、隆が飽きっぽいから根性なくて最初だけ一番だけど、どんどん追い抜かれていくのかと思ってたわ」
「そんな、それは隆さんがかわいそうよ」
陽子が麻美子に苦笑していた。
「船の性能が違うのよ」
「それはあるかもね」
瑠璃子も陽子に頷いていた。
「すごいね!陽子ちゃんも、すっかりヨットに詳しくなってしまって、もう私よりも全然ヨット上手になってしまっているよね」
麻美子が陽子のことを感心していた。
「麻美ちゃんだって、なんとなくはわかるでしょう?」
「私?ぜんぜんわからない」
麻美子は陽子に笑顔で答えた。
「あんまりヨットのこと覚える気もないのよね。なんかヨットは乗れていれば良いだけで」
麻美子が陽子に説明した。
「隆が全部やってくれるとか思いながら、乗っているだけだから」
麻美子が苦笑した。
主な著作「クルージングヨット教室物語」「ジュニアヨット教室物語」「プリンセスゆみの世界巡航記」「ニューヨーク恋物語」「文筆のフリーラン」「魔法の糸と夢のステッチ」など
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