「羊さんとか見に行こう」
香代が隆のことを誘った。
「せっかくマザー牧場まで来たんだし、見てこようか」
隆は、香代と一緒に席を立った。
「私も行く」
陽子と香織も席を立って、一緒に動物たちを見に行くこととなった。
小屋のお店には、ビールも売っていて、中村さん、雪に麻美子も席で寛いでしまっていた。
「ここにも、ミーアキャットがいるんだな」
隆は、羊たちの放牧されている草原の向こうに、ミーアキャットたちがいる岩場があった。
「大島のリス村にもいたものね」
陽子が隆に頷いた。
「ミーアキャットって育てやすいのかしらね」
香織が言った。
「伊豆大島も、千葉もこの辺は南房総で暖かいから環境が良いのかもな」
「それはあるかもね」
隆と陽子も話していた。
「かわいい」
ウサギが香代の側までやって来て、香代の手から草を食べていた。
「草なんて、そこら中に生えているのに、わざわざ香代の手から食べなくても良さそうなのに」
「やっぱり、人が手に取ってくれている草の方が、そこらに生えてる草より美味しいんじゃないの」
「中目黒の出店で売っている料理も美味しいんだけど、麻美子の実家のお母さんが作ってくれた料理の方が食べて美味しいみたいなものか」
隆が言った。
「その例えは、よくわからないけど、そうなのかもしれないね」
陽子が答えた。
「バスの帰りの時間もあるし、そろそろ帰る!?」
小屋の方から麻美子の呼ぶ声がして、隆たちは小屋に戻って来た。
「帰りのバスの時間ってわかるの?」
「うん。今からゆっくり歩いてゲートまで戻ればちょうど良いぐらいかな」
麻美子は、入場券売り場でもらったバスの時刻表を確認しながら答えた。
「けっこう飲んだの?」
「ううん、ビール1杯ぐらいよ」
麻美子は、隆に答えた。
「港に戻ったら、今夜もまた飲みが始まるよ」
隆は、麻美子に言った。
「そんな2日も続けて飲んだりはしないわよ」
人をアル中まで言わないでとばかりに、麻美子は隆に答えた。
「いや、香代いわくマッキーが保田に来ているらしいから」
「あ、そうか。あの人たちの船が来ていたら、飲みになってしまうわね」
麻美子は苦笑した。
「バス、来ているよ」
ちょうどゲートのところにバスが停まっていた。
「浜金谷行きだって」
これに乗れば、保田の港までも帰れる。
「ちょうど良かった」
皆は、バスに乗るとマザー牧場を後にした。
主な著作「クルージングヨット教室物語」「ジュニアヨット教室物語」「プリンセスゆみの世界巡航記」「ニューヨーク恋物語」「文筆のフリーラン」「魔法の糸と夢のステッチ」など
東京国際ボートショー開催中の横浜マリーナではクルージングヨット教室生徒募集中!