クルージングヨット教室物語194
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「お待たせ」
麻美子が、香代と一緒にキャビンから表に出てきた。
キャビンに入る前に来ていたデニムと同じようなデニムを着ていたし、メイクもそんなに変わっているように見えなかったので、大して変わらないと言おうとして、
「え、メイクしてきたの?」
横にいた雪の顔を見て、何も言わずに済んだ。
「昨日の電車に乗っていけば良いのよね?」
「そのはずだけど」
保田の港を出ると、昨日の駅まで歩いていた。
「ね、あれってマザー牧場行きって書いてない?」
瑠璃子が、駅前に停まっていたバスを指差した。
「あら、本当だ。あのバスに乗れば、マザー牧場の真ん前まで行けるのかな」
「私、聞いてくる」
香織と瑠璃子が走って、バスのところまで行った。
「大丈夫だってよ!」
香織がバスの運転手さんに聞き、それを聞いていた瑠璃子が皆を手招きした。
「え、このバスって真ん前まで行くんですか?」
「ええ、行きますよ」
「電車だと目の前までは行かないって聞いたんですけど」
「ええ、バスじゃないとマザー牧場の真ん前までは行けないです」
麻美子は、バスの運転手さんの返事を聞いて、ホッとした。
「駅前で、このバスを見つけられて良かったね」
「本当に!瑠璃ちゃんのお手柄だね」
麻美子が答えた。
「ところで、マザー牧場って何があるの?」
「牛さんとか羊さんがたくさんいるわよ」
「なるほど。動物園か」
隆は、麻美子から聞いて納得した。
「動物園じゃないわよ。牧場よ」
麻美子が隆を訂正した。
「あと遊園地もあるよ」
香代が隆に説明した。
「遊園地もあるんだ」
「もとは牧場だったけど、遊戯施設も増えてしまって、遊園地みたいになってるんだよな」
中村さんが、隆に説明した。
「皆が行きたいぐらいマザー牧場って人気あるんだ」
「香代ちゃんが行きたいのよね」
麻美子が言った。
「そうか。香代ちゃんが行きたいのか、香代はお子ちゃまだな」
隆は、香代の頭を撫でていた。
「隆も、ちゃんとマザー牧場の予習しておいた方が良いよ」
「え、そうなの」
「そのうち、隆も子供ができて、子供が行きたいって言ったら連れて行ってあげないといけないんだから」
麻美子が隆に伝えた。
「まだまだ先の話jだな」
「そんな先でもないんじゃないの」
「子供の前に、まず相手を探さないとだし」
隆が答えているのが、雪にも聞こえて、雪は隆のことを睨んでいた。
主な著作「クルージングヨット教室物語」「ジュニアヨット教室物語」「プリンセスゆみの世界巡航記」「ニューヨーク恋物語」「文筆のフリーラン」「魔法の糸と夢のステッチ」など
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