「おはよう」
フォアキャビンから雪が起きてきた。
「おはよう。もういいの?まだもう少し寝てても大丈夫よ」
麻美子が雪に言った。
「香代ちゃんって、ヨットにいる時は麻美ちゃんの大事な娘だよね」
瑠璃子が、陽子と話していた。
「瑠璃ちゃんだって、ヨットにいる時は私の大事な娘だよ」
麻美子が、料理していた手で瑠璃子のことを抱き寄せ、撫で撫でしながら微笑んだ。
「麻美ちゃんって子供好きだし、本当の子どもがいたら良いのにね」
陽子が麻美子に言った。
「私さ、昨日、隆くんと一緒にタクシーに乗って帰ってきたじゃん」
「そうね」
雪の言葉に、麻美子が答えた。
「タクシーの中で、麻美ちゃんにはっきりしてあげないとダメだよって言っちゃった」
「そうなの」
「それで、隆さんはどんな反応だった?」
陽子が雪に聞いた。
「そうだねえーって感じだった」
「そんなものよ、隆は」
麻美子が苦笑した。
「はっきりってどういう意味なのかよくわからないけど、麻美子とは、いつも常にはっきり言ってるよとか言うからさ」
「そうなんだ」
「トボけるんじゃないのって言って、隆くんのおでこポンって叩いてやったら、はい!とかって答えてたんだけどね」
「そうなんだ。雪ちゃんにピンと言われると、隆のやつ、結構応えてるかもしれないね」
麻美子は吹き出してしまっていた。
「このカニは美味しいぞ、きっと」
「このタコも、お刺身にしたら美味しいよ」
ラッコの表から隆と香代の声が聞こえた。
「ほら、大きな子供と小さな子供が帰ってきたよ」
「あ、本当だ!」
陽子と麻美子は笑顔で話していた。
主な著作「クルージングヨット教室物語」「ジュニアヨット教室物語」「プリンセスゆみの世界巡航記」「ニューヨーク恋物語」「文筆のフリーラン」「魔法の糸と夢のステッチ」など
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