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クルージングヨット教室物語171

Photo by Ingmar H on Unsplash

「お姉ちゃん、これって、どこに付けるんだっけ」

麻美子は、子供達に質問されていた。

「それはね、センターボードだから船の真ん中に付けて、船の重りになるのよ」

麻美子は、センターボードをOPの真ん中に空いている穴に差し込んでみせた。

「あ、すごい」

「マストが重くて、うまく取り付けられないよ!」

小さい女の子が、自分の身長と同じぐらいの高さがあるマストを担いでふらふらと移動していた。

「大丈夫?」

麻美子は、女の子と一緒にマストを持ってあげると、女の子のOPにマストを立ててあげた。

「お姉ちゃん、ここってどうやって結ぶの?」

「そこは、舫い結びね」

麻美子は、男の子のOPに付いているメインシートの結び目を舫い結びで結んであげた。

愛菜由佳姉妹のOPを一隻艇庫から表へ運んであげただけなのに、その後、他の子供達からも、お姉ちゃんお姉ちゃんと声をかけられて大人気になっていた。

「麻美子!行くぞ」

放っておいたら、ずっと子供達の手伝いしていそうなので、隆が麻美子のことを呼んだ。

「先に行っていて!私、後から行くから」

麻美子は、隆に返事すると、子供達の艤装を手伝い続けていた。

「なんか、ずっとヨット教室の手伝いしているつもりなのかな」

「麻美ちゃんって優しいから、子供達に大人気だね」

隆と瑠璃子は、片桐一郎から受け取ったシェイカーを持って、アクエリアスの方へ戻って行った。

「麻美子って、一体何をしに俺たちの後ついてきたんだろう」

「え、シェイカー探しに」

「ヨット教室の手伝いしているじゃん」

隆は、子供達の手伝いばかりしている麻美子に不満そうだった。

「別に良いんじゃないの」

瑠璃子は、麻美子のことをかばっていた。

「あれ、麻美ちゃんは?」

隆と瑠璃子の2人しか戻ってきていないので、陽子が聞いた。

「なんか子供ヨット教室の手伝いし始めちゃってるよ」

隆が陽子に答えた。

「麻美ちゃん、子供好きだから」

隆から聞いて陽子は微笑んでいたが、隆は不満そうだった。

「なんか不満?」

「いや、別に」

隆は、陽子に答えながら、シェイカーで船底塗料を混ぜ合わせていた。

「どうしたの?」

「子供達に麻美ちゃんのことを取られてしまったから寂しいじゃないの」

「そうか、子供達にヤキモチ焼いているのか」

陽子は、瑠璃子から聞いて苦笑していた。


作家プロフィール

主な著作「クルージングヨット教室物語」「ジュニアヨット教室物語」「プリンセスゆみの世界巡航記」「ニューヨーク恋物語」「文筆のフリーラン」「魔法の糸と夢のステッチ」など

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