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クルージングヨット教室物語170

「ほら、ここに置いてありますよ」

片桐一郎は、隆にシェイカーを手渡してくれた。

隆の後についてきた麻美子と瑠璃子は、艇庫の中から小さなヨットを運んでいる子供達と出会った。

「かわいい」

「ね、なんかちいちゃなヨット」

瑠璃子は、麻美子に答えた。

瑠璃子は、子供達の運んでいるディンギーのことをかわいいと言っていたが、麻美子は、ディンギーを運んでいる大勢の子供達を見て、かわいいと呼んでいた。

「おい、佐々木!そっちのOPを持って行けよ」

「お、洋ちゃん」

大きな子が、小さな子へ指示を出しながらディンギーを運んでいた。

「由佳、そっち側を持ってよ!お姉ちゃんが手前側を持つから」

愛菜は、妹に指示を出していた。

「お姉ちゃん、重くて1人じゃ持てないよ」

妹の由佳は、姉の愛菜に答えていた。

「俺が、そっち側を一緒に持ってあげるよ」

洋ちゃんに言われて、助かったって顔で嬉しそうにした由佳だったが、

「邪魔しないでくれる、由佳が1人で持てるから」

姉の愛菜に邪魔するなと言われて、由佳のことを手伝えずに他の子のディンギーを運ぶのを手伝いに行ってしまった洋ちゃんと呼ばれたお兄さんだった。

「ほら、由佳持って行くよ」

姉に言われて、OPの後ろ側を1人で重たそうに持ち上げた由佳だった。

「あらあら、重いでしょう」

見かねた麻美子は、由佳のところに行くと一緒に持ってあげた。

「由佳!1人で持てないの?」

OPの先頭を持っている愛菜が、由佳に伝えた。

「大丈夫よ、お姉さんが一緒に持ってあげる」

麻美子が、由佳に代わって愛菜に伝えると、OPを持って艇庫から運んであげていた。

「お姉ちゃん、今度は僕のも運んで」

愛菜と由佳姉妹のOPを運んであげると、別の男の子にも一緒に運んでと頼まれてしまった麻美子だった。

「良いわよ、よし、一緒に運ぼうか」

麻美子は、子供達の出航準備を一緒になって手伝い始めていた。

「何やっているんだ、あいつ」

「麻美ちゃん、子供とか好きだから」

隆は、瑠璃子と一緒に、子供達の手伝いをしている麻美子のことを見ていた。


作家プロフィール

主な著作「クルージングヨット教室物語」「ジュニアヨット教室物語」「プリンセスゆみの世界巡航記」「ニューヨーク恋物語」「文筆のフリーラン」「魔法の糸と夢のステッチ」など

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