クルージングヨット教室物語164
Photo by Kazuya Ueoka on Unsplash
「おやすみなさい」
バウのキャビンでは、雪が就寝についた。
真ん中のダイニングの部屋では、瑠璃子、陽子、香織の3人が寝ていた。
4人が眠りにつくのを確認すると、麻美子はアフトキャビンに戻った。
「おやすみなさい」
麻美子は、既に眠りについている隆と香代に小声で呟くと、自分もバースに入って眠った。
ヨットでのお泊まりは、別にどこかへクルージングに出かけたりした時だけではなく、自分のヨットが保管されているマリーナ内で1泊するセイラーたちも多かった。
マリーナ内でヨットに宿泊することをマリーナステイと読んでいた。
もちろん、どこかの港に出かけて、出かけた先でヨットにお泊まりするのも楽しかったが、自分がいつも保管しているマリーナ内でお泊まりするのも乙なものだった。
隆たちのラッコは、海上ではなく陸上の船台で保管されているので、波などで船が揺れることもなく、陸上の家で寝ているのと変わらずに就寝できた。
翌朝まで、ぐっすり寝てしまっていた。
「おはよう」
翌朝、麻美子が起きて朝ごはんを作っていると、雪が起きてきた。
「私さ、早めに帰るね」
雪は、麻美子に伝えた。
「朝、家で着替えたいし、会社に行く前にお風呂にも入ってから出かけたいし」
「そうか、そうだよね」
麻美子は、雪に答えた。
「朝ごはんだけでも食べていかない?」
「ううん、大丈夫」
雪は、自分のバッグを揃えると麻美子に答えた。
「それじゃね」
「うん、行ってらしゃい」
麻美子は、雪に弁当箱を手渡しながら、手を振った。
「え、なに。これ」
「今、雪ちゃんが準備している間に作ったの、朝ごはん」
麻美子が雪に答えた。
「ありがとう!」
雪は笑顔で麻美子に手を振った。
「え、もう起きたの?」
眠そうな目で、瑠璃子と香織が起きてきた。
「私、会社へ行く前に1回家に寄りたいから」
雪は答えた。
「行ってらしゃい!」
香織も、瑠璃子も眠そうな目で、雪に手を振っていた。
主な著作「クルージングヨット教室物語」「ジュニアヨット教室物語」「プリンセスゆみの世界巡航記」「ニューヨーク恋物語」「文筆のフリーラン」「魔法の糸と夢のステッチ」など
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