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クルージングヨット教室物語163

Photo by masaru satou on Unsplash

「ぜんぜん色っぽくもなんともない雛祭りっぽくもない話なんだけど・・」

隆は、陽子に言った。

「良いの。隆さんがぜんぜん色っぽさを感じないからこそ、色っぽい雛祭りっぽい話なのよ」

陽子は、隆に答えた。

「そうなのか」

「そうかもしれないね。うん、隆さんがそう感じていないからこそ、麻美ちゃんには良いのよ」

香織が、隆に言った。

「隆は、そういう話は苦手だものね」

「麻美子は、そういうの得意なんだ?」

「私?私も、どちらかというと苦手、不得意だけどね」

麻美子は、隆に聞かれて、答えた。

「っていうか、俺と麻美子って別にそういう関係でもなんでもないけどな」

「はいはい、そうよね」

麻美子は、隆に答えた。

「ね、そろそろ時間も時間だし、お雛様パーティーもお開きにして寝ない?」

麻美子は、皆に言った。

「そうだよね、皆、明日も会社があるしね」

瑠璃子が言って、皆はテーブルの上のお皿などを片付け始めた。

「着替えようか」

食器を片付け終わると、麻美子は香代に声をかけた。

「うん」

香代は、麻美子と一緒に、アフトキャビンに入ると、戸棚に入っているパジャマに着替えた。

「隆は、そっちの部屋で着替えてきてね」

麻美子は、隆にパジャマを渡すと、アフトキャビン奥に付いているトイレルームを指差した。

「ここの部屋は、トイレだけじゃなくサウナも付いているんだぞ。俺、着替える前に、サウナで暖まってから着替えようかな」

「どうぞ、ご自由に」

麻美子は、隆に返事してから、中央のキャビンに出た。

「皆は着替え終わった?」

「まだ」

陽子と香織が、麻美子に答えた。

「私、パジャマ無いから、このままで寝ちゃおうかな」

雪が言った。

「パジャマ、持ってこなかったの?明日、会社に行くのに、今日着ていた服と同じ服で出社するの?」

「そうだよね」

雪は、麻美子に答えた。

「あ、大丈夫。私、1回自分の家に立ち寄って、そこで着替えてから会社に行くわ」

「あ、そうだよね。雪ちゃんの家は、ここから近いものね」

麻美子は、雪に答えた。

「でもさ、今度くるときとかには、パジャマ1枚持ってきておいたら?その前のクローゼットは、自由に使っても良いんだから、そこに入れておけばまた泊まるときに使えるじゃない」

「そうだね」

雪は言った。

「私、ここに入れてあるの」

瑠璃子が、クローゼットの奥から自分のピンクのパジャマを取り出して、麻美子に見せた。

「ね、知ってる。前に香代ちゃんとかと一緒に持ってきたんだよね」

麻美子は、瑠璃子の可愛いパジャマを見ながら言った。

「私なんて、家で寝るときも、いつもジャージ」

グレイのジャージを自分のバッグから出しながら、陽子が言った。

「私も、家にもう1枚ジャージあるから、このジャージはラッコに置いておこうかな」

「うん、そうしなよ」

麻美子は、陽子に言った。

「っていうか、今度さ、陽子ちゃんの可愛いパジャマをなんか私が買ってきてあげる」

麻美子が、陽子に言った。

「皆、ヨットで寝るときもパジャマを着ているんだ」

香織は、皆がパジャマに着替えているのを見て、呟いた。

「私、ヨットで寝るときはそのままの服装でゴロ寝かと思ってた。アクエリアスって、いつも皆、そうやって寝ていたみたいだし」

「クルージングに行く時はね。ラッコでも、そのままで寝ちゃう時もあるわよ」

麻美子は、香織に言った。

「瑠璃ちゃんみたいに可愛いのじゃないけど、私も今度パジャマ持ってこようと」

「うん。持っておいで」

麻美子は、香織に言った。


作家プロフィール

主な著作「クルージングヨット教室物語」「ジュニアヨット教室物語」「プリンセスゆみの世界巡航記」「ニューヨーク恋物語」「文筆のフリーラン」「魔法の糸と夢のステッチ」など

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