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クルージングヨット教室物語153

Photo by Matt Ketchum on Unsplash

「あれ、おはよう!久しぶりじゃないの」

麻美子が横浜のマリーナのクラブハウスに入ると、そこにいた松浦さんに言われた。

「お!麻美ちゃん久しぶり!」

その後、クラブハウスを出て、ラッコに向かおうとしている時にも、同じ言葉を別の人から言われてしまっている麻美子だった。

「麻美ちゃん、大人気!」

「人気な訳じゃないわよ」

ラッコの皆から言われて、照れている麻美子だった。

「ほんの少しの間だけ休んでスキーに行っていただけで、これだから、半年もヨットに来なかったら、何を言われるかウカウカとヨットを休んでいられないな」

ずっと毎週、ヨットへ一緒に来てくれなかったマミコに恨めしそうに隆が言った。

「そうね」

麻美子は、隆の頭を撫でていた。

「なんか呼んだ?」

また、横浜マリーナに集まっていた松浦さんたちメンバーがラッコのところにやって来た。

「これから、船を出しますよ」

と言う隆の返事に、

「それじゃ、仕方ないな」

「乗ってあげないとな」

ラッコのクルーでもない松浦さんたちヨットを横浜のマリーナに保管しているメンバーが皆、ラッコの船に集まって来ていた。

2月の中旬なので、まだまだ海は寒い季節だった。

これが暖かい時期だと、皆それぞれのヨットにクルーもたくさん揃っているので、それぞれ別々に自分たちのヨットを出航させて、クラブレースとか競争したりするのだった。

でも、今はまだまだ寒い時期だ。

各艇それぞれ別々に出航できるほど、クルーの人数が揃っている船も少ないのに、必然的にどこか出港するよというヨットに集まってきて、一緒に出航することになるのだった。

「ね、ねえ、あの子たちって可愛くない」

麻美子は、ラッコの艇上から見える横浜のマリーナのスロープを、小さなヨット、ディンギーを押したり引いたりしている少年少女たちの姿を発見していた。

「可愛いね」

「ああ、ジュニアヨット教室の生徒さんたちだろう」

隆は、麻美子の眺めている少年少女たちを見て、麻美子たちに答えた。

「いくつぐらいの子たちなんだろう?」

「確か、小学生と中学生までが入校できたんじゃなかったかな」

隆は、麻美子に答えた。

「昔、最初にジュニアヨット教室ができた頃は、中学生が大きくなって高校生になっても、まだ続けられたらしいけど、今は高校生になったら強制卒業させられるらしいよ」

「そうなの?別に好きで中学から高校になっているわけじゃないのにね」

香織が隆に言った。

「だから、あれじゃない。中学を卒業したら、ジュニアヨット教室は卒業だけど、高校生でヨットを続けたかったらクルージングヨット教室の方に入学してくださいってことじゃないの」

「あ、そういうことか」

香織は、隆の回答に納得した。


作家プロフィール

主な著作「クルージングヨット教室物語」「ジュニアヨット教室物語」「プリンセスゆみの世界巡航記」「ニューヨーク恋物語」など

東京国際ボートショー開催中の横浜のマリーナではクルージングヨット教室生徒募集中!

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