「今日は、それじゃ磯子へヨットに乗りに行こうか」
お父さんは、洋ちゃんに言った。
「これ、どうやって磯子まで持って行くの?」
朝、洋ちゃんは、お父さんに聞いた。
「車の上に乗せて、持って行くよ」
「車の上に?」
「そう、手伝ってくれ」
お父さんは、庭に置いてあるミニホッパーのところへ出た。
「まず最初に、物置に入っているセイルとかを車の中に積もうか」
お父さんは、物置きの扉を開いた。
「トランクを開けて良いよね」
洋ちゃんは、車のトランク、バックドアを開けた。ステーションワゴンなので、後ろのバックドアを開けると、そこからトランクと車室全てに荷物を積むことができた。
お父さん自慢の日産サニーカリフォルニアだ。
「大丈夫か」
「うん、持てるよ」
お父さんが、物置きからセイルやマストなどヨットの備品を取り出すと、手渡しで洋ちゃんが受け取り、車の中へと積んでいた。
「忘れ物はないか?」
「備品を一つでも積み忘れると、向こうに着いてからヨットを海に出せなくなってしまうからな」
お父さんは、念入りに車の中のミニホッパーの備品を確認していた。
「お昼のお弁当は要らないのよね」
お母さんが、普段着ているスカートからズボンに着替え終わって、出てきた。
「お昼は、向こうにレストランがあるから大丈夫」
お父さんは、お母さんに答えた。
「お母さんも一緒に、ヨットを車に乗せるの手伝ってくれるか」
お父さんは、ミニホッパーの前方に行くと、2人に声をかけた。
「どうするの?」
「お前たち2人で、そっち側、後ろ側を持ち上げてくれ。お父さんは、前側を1人で持ち上げるから」
お父さんが、ミニホッパーの前側を1人で持ち上げると、洋ちゃんとお母さんで後ろ側を持ちあげた。
「このまま、車の上に乗せるぞ」
お父さんは、ミニホッパーを高く持ち上げると、車の屋根の上に乗せた。それに合わせて、後ろの2人も必死で高く持ち上げると、車の上に乗せる。
「え、なんか台がくっついている!」
ミニホッパーを屋根に乗せてから、洋ちゃんは車の屋根の上に2本のバーが付いていることに気づいた。こんなバーは、この間、山中湖に行った時は付いていなかった。
「車の屋根の上にヨットを乗せられるように、カートップ用のルーフキャリアを取り付けておいたんだ」
お父さんは、洋ちゃんに説明した。
そのバーの上にミニホッパーは乗っかっていた。
屋根の上のミニホッパーが車から落ちないようにバランスの良い真ん中辺に乗せると、長いロープを持ってきて、そのロープを車の下部に引っ掛けってミニホッパーの周りにぐるぐると巻きつけた。
「船が道路で落ちてしまうと大事故になるからな。しっかり縛らないといけない」
お父さんは、しっかりとロープでミニホッパーを固定させていた。
お父さんは、車に積む時のヨットのロープの縛り方までしっかりとYAMAHAのマリンショップでレクチャーを受けてきていたようだ。
主な著作「クルージングヨット教室物語」「ジュニアヨット教室物語」「プリンセスゆみの世界巡航記」「ニューヨーク恋物語」など
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