ジュニアヨット教室物語56
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「あれ、お父さん」
ヨットの片付けを終えて、皆とクラブハウスの中に戻ってくると、クラブハウス内のソファに、洋ちゃんのお父さんが腰掛けていた。
「どうしたの?」
「え、お前がヨットに乗っているとお母さんに聞いて、どんなか見に来た」
「そうなんだ。ずっと見ていたの?」
「ああ、これでお前たちが海上で乗っているところを見れたよ」
お父さんは、肩から下げている双眼鏡を、洋ちゃんに見せた。
「それで見えたの?」
「見えたよ。車でマリーナの先の道を進んで行って、お前たちが練習している海上の見えるところまで行って、そこから眺めていた」
お父さんは、洋ちゃんに答えた。
「お前1人だけ白いヨットに乗っていただろう」
「うん、わかったんだ」
どうやら、海上沿いの陸地から見える道路のところで本当に眺めていたらしかった。
「なかなか良いな、ヨットって」
全くヨットに乗ったことがないお父さんも、ヨットが気に入ったようだった。
「車で来ているの?」
「ああ」
「それじゃ、帰りは一緒に乗っていっても良いの」
「もちろん。一緒に帰ろう」
帰りは、根岸駅まで長い距離を歩かなくても良いのが嬉しい洋ちゃんだった。
「車で帰れるよ」
洋ちゃんは、松田と健ちゃんに言った。
「それじゃな」
佐々木や小林たちは、徒歩で横浜のマリーナを出ると帰宅した。
片桐二郎は、いつものようにお父さんの片桐一郎の運転する車で帰っていく。その姿を眺めながら、徒歩で帰っていた洋ちゃんも、今日はお父さんと一緒なので、車で帰れた。
洋ちゃんは、助手席に乗った。
健ちゃんと松田が後部座席に乗ると、お父さんはエンジンをかけて走り出した。
「洋ちゃん、俺は京浜東北線でそのまま帰るよ」
松田は、洋ちゃんに言って、根岸駅まで送ってもらうと、そこから電車で埼玉まで帰った。
「健ちゃんは、このまま一緒で良いんだろう」
「はい、ありがとうございます」
健ちゃんは、洋ちゃんのお父さんに答えた。
主な著作「クルージングヨット教室物語」「ジュニアヨット教室物語」「プリンセスゆみの世界巡航記」「ニューヨーク恋物語」など
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