ジュニアヨット教室物語24
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「速かったですね、優勝ですね」
沖合いでのヨットレースでゴールし終わって、横浜のマリーナまで戻ってきた洋ちゃんと健ちゃんは、今日から始まったジュニアヨット教室でちょっとしたヒーローになっていた。
他のヨットが皆、どの笛がスタートの号令かわからずに、スタートが遅れたとき、洋ちゃんたちのヨットだけは、しっかりスタートの笛を理解して、先行してスタートしていた。
そのおかげもあって、一番最初に風上のブイまでたどり着けた洋ちゃんたちのヨットは、そのままゴールまで先頭で走り抜けて、ゴールしてしまったのだった。
「今日は、まだ初回だし、ヨットレースを2回ぐらいやって終了にしよう」
と予定していた片桐一郎だったが、午後からは、まずクラブハウスでヨットレースのルール説明をしていたのと、午後から一緒に乗るグループ決めで時間がかかってしまい、1回しかヨットレースが出来なかった。
ピーーーー!
洋ちゃんたちのヨットが最初にゴールすると、片桐先生がゴールの笛を鳴らした。
「ゴール!」
ボートの上から片桐一郎は、洋ちゃんたちのヨットに伝えた。
「今日は、レースは1回やったら終わりにするから、そのままマリーナに戻っていいぞ」
片桐先生は、ゴールし終わった2人に伝えた。
「じゃ、戻ろうか」
「はい!」
健ちゃんは、今日一番の大声で嬉しそうに、洋ちゃんへ返事していた。
「今回は、もう終わりだから、このままスロープからヨットを上げてしまって良いんだよね?」
「たぶん」
2人が、ヨットでスロープに突っ込むと、ボートには乗らず、クラブハウスで事務作業しながら待っていた土居先生が、2人を出迎えに来てくれた。
「そのまま、突っ込みなさい」
洋ちゃんは、土居先生に言われて、ヨットをスロープに突っ込んだ。突っ込んで来たヨットの前方を、土居先生が持ち上げて、スロープから上げてくれた。
「はい、降りていいよ」
洋ちゃんと健ちゃんは、土居先生が抑えてくれているヨットから降りた。
「そしたら、先生が前を持つから、2人でヨットの後ろを持って」
先生と3人で、自分たちのヨットをスロープの上、横浜マリーナの平地まで移動すると、そこでヨットの船体からマストやセイルを外して、片付け始めた。
2人が、自分たちのヨットを片付けていると、他の子たちも戻って来て、スロープからヨットを上げてから、ヨットの艤装を外して片付け始めた。
「速かったですね、優勝ですね」
そこで、自分たちの乗っていたヨットをそれぞれ片付けながら、洋ちゃんや健ちゃんは、他の生徒たちにレースで優勝したことを褒められていたのだった。
主な著作「クルージングヨット教室物語」「ジュニアヨット教室物語」「プリンセスゆみの世界巡航記」「ニューヨーク恋物語」など
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