ジュニアヨット教室物語23
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「このままのコースで直進するよ」
洋ちゃんは、ラダーを操作しながら、健ちゃんに伝えた。
「はい、大丈夫ですよ」
健ちゃんも、しっかりメインシートを握って操作していた。
どうやら、他のヨットは皆、スタートラインの遥か後方を走っているので、2人の乗っているヨットだけが1番でスタートしたようだった。
「ね、あのヨットって、もうスタートしているんですかね?」
望月くんは、一緒に乗っている竹内くんに聞いた。
「え、まだでしょう」
竹内くんは、洋ちゃんたちのヨットが走って行く姿をチラッと眺めてから、望月くんに答えた。
「だって、皆まだスタートなんかしていないですよ」
自分たちの周りにたくさん走っているヨットを見て、安心していた。
「タックしようか」
望月くんは、竹内くんに声をかけた。
「いつでも、タックできます」
竹内くんは、メインシートを持ちながら、望月くんに返事をした。
「さすがにスタート時間も近いだろうから、タックしてスタートライン周辺まで戻りましょう」
2人のヨットは、スタートライン近くにいる先生たちの乗っているボートの近くまで戻った。
「何をやっているんだ!もうスタートしているぞ」
2人のヨットが、先生のボートに近づくと、先生に怒鳴られた。
「え、スタートしているんですか?」
「とっくの昔にスタートしているよ」
先生に言われて、2人は慌ててスタートラインを越えて、スタートして行った。
先生が、望月くんたちと大声で話す声は、他のヨットたちにも聞こえて、他のヨットたちも、もうスタートしているということに気づいた。
「スタートしているんだってよ」
「じゃ、早くスタートしなきゃ」
洋ちゃん健ちゃんのヨットがスタートしてから、かなり経ってから他のヨットたちも、ようやくスタートして行った。
主な著作「クルージングヨット教室物語」「ジュニアヨット教室物語」「プリンセスゆみの世界巡航記」「ニューヨーク恋物語」など
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