ジュニアヨット教室物語14
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「そっち持ってよ」
「もう少しゆっくり降ろしてよ」
子供達は、大騒ぎしながらも、ヨットをスロープから海上に降ろし、水面に浮かべていた。
「俺、ラダーを持つ方で良いか?」
「うん、じゃ、俺はシートを握って操作するよ」
ヨットを降ろし、海に浮かべ終わった生徒から順番に、海に浮かんでいるヨットの上に乗って、船の後端に取り付けたラダーのティラーを握って、操船していた。
「このまま、まっすぐ船を降ろせば、海に浮かべられるよ」
「待って待って、船も海に入って浮かぶかもだけど、俺の足も海に浸かって、ズボンが濡れちゃうよ」
たけし君は、海に浮かんだヨットのロープを手から離すと、ズボンが濡れないようにスロープの少し上側に避難していた。
「何をやっているんだよ!?手を離したら、ヨットだけが海に出て行ってしまうじゃん」
たけし君とペアの長沢が、たけし君に注意したが、その時には、海に浮かんだヨットは、岸を離れて沖合へと流されてしまっていた。
「ヨットだけで、どんどん岸から離れて海に行ってしまう」
たけし君と長沢の2人は、岸から海に出て行ってしまったヨットを眺めていた。
「もう、あのヨットって海のどっかに行ってしまうじゃん」
たけし君は、諦めたように呟いていた。
沖合のボートから見守っていた先生が、流されていくヨットに気づいて、ボートで急いで近づくと、ロープで引っ張って、岸に戻した。
「ありがとうございます!」
たけし君は、ボートで救出してくれた先生にお礼を言うと、自分たちのヨットに乗り込んだ。
「船を出そうぜ」
長沢もヨットに乗り込むと、たけし君に言った。
「うん、俺がこっちのシートを持つね」
たけし君が船の中央寄りに座って、セイルの操作をするメインシートを持っていた。
「わかった。じゃ、俺はこっちで操船するね」
長沢が船の後端に座ると、ラダーに繋がっているティラーを持って操船し始めていた。
「このまま、沖合いまでヨットを出そうぜ」
2人は、ヨットを操船して、沖合いまで走らせていた。
生徒たちの乗るヨットが皆、海に浮かべられて、生徒たちが乗り込むと、沖に向かって走り始めていた。
主な著作「クルージングヨット教室物語」「ジュニアヨット教室物語」「プリンセスゆみの世界巡航記」「ニューヨーク恋物語」など
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