ジュニアヨット教室物語12
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「センターボードは、ヨットの船体の真ん中の穴に入れます」
片桐先生たちは、生徒たちの周りを周って、取り付け方を説明していた。
「センターボードのセンターっていうのは英語で真ん中という意味です。ヨットの、船体の真ん中に取り付けるボード、板だからセンターボードです」
まだ小学校は英語を習っていなかったが、先生たちは英語の意味を教えて、センターボードのことを説明していた。
「ラダーは、ヨットの、船体の後ろ側に付けます。ラダーの先っぽに棒が付いていますが、この棒、ティラーを左に押したり、右に引いたりして、ヨットを左右に動かします」
ずっと大声で説明していたので、片桐先生の声は少しかすれてしまっていた。
「マストは、船体の前の方にある穴に差し込みます。穴に差し込んでマストが立ったら、ロープ、シートでぐるぐる巻きにしてあるロープを解いて、マストに沿って付いていた金属の棒を船の前から後ろに垂直に下ろします。これがブームというセイルを右に出したり、左に出したりするものです」
先生は、子供達に説明している。
「このブームとラダーに付いているティラーを左にしたり右にしたり入れ替えることで、ヨットは左、右へと方向転換します」
「先生!」
センターボードを船体中央の穴に差し込もうとしていた女の子が呼んだ。
「はい、花ちゃん。なんでしょうか?」
「先生、センターボードがうまく入りません」
「ちゃんと入っているじゃない」
先生は、女の子がちゃんと船体中央の穴に差し込めているのを確認して言った。
「こんなものでいいの?」
「大丈夫ですよ」
「なんか、もっと奥まで入るのかと思った」
女の子、花ちゃんは、センターボードの下の方だけが船に刺さっていて、上の方のほとんどが船体から上部に飛び出してしまっているのを気にしていた。
「ああ、もちろん海に船を下ろしたら、センターボードも一番下まで突き刺しますよ」
先生は、花ちゃんの差し込んだセンターボードに軽く手を添えながら言った。
「今は、ヨットが陸上に置かれているから、一番奥まで差し込みたくても、船体の下に地面があるから、一番奥まで突っ込めないじゃないですか」
センターボードの先を船体下にある地面に当てて見せながら説明した。
「あ、そうか」
「地面があるから、奥まで差し込めないんだ」
花ちゃんたちは、地面にセンターボードがぶつかっていることに気づいた、
「同じように、ラダーも一番したまで下ろせないから、今はこのシートを引いてあって、ラダーは上に向かって跳ね上げてあります」
「じゃ、海に船を浮かべたら、センターボードとラダーを海の中に突き刺すってことですか」
「そうです!正解です」
片桐先生は、生徒たちに答えた。
主な著作「クルージングヨット教室物語」「ジュニアヨット教室物語」「プリンセスゆみの世界巡航記」「ニューヨーク恋物語」など
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