ジュニアヨット教室物語9
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「ヨット教室の生徒さんは、クラブハウス内に集まってください!」
洋ちゃんは、健ちゃんと一緒にポンツーンの辺りを辺りをブラブラしていると、少し小太りの中年の男性が建物の前に立って、大声で叫んでいるのを聞いた。
「ヨット教室始まるみたいだね」
洋ちゃんと健ちゃんは、クラブハウスの中に入った。
「今日からヨット教室だね」
「私、ヨットなんて乗ったことないから不安なんだけど・・」
クラブハウスの中には、大勢の少年少女たちがたくさん集まってきていた。洋ちゃんや健ちゃんのように、お友達同士で来ている子供達も多くいるらしく、皆のお喋りでクラブハウスの中は騒がしかった。
「ちょっと皆さん、静かに!」
少年少女たちの周りに立っていた大人たちが、子供たちに声をかけていた。
「ちょっと静かに!これから乗るヨットの説明しますから!」
さっき、表で大声で叫んで、子供達を呼んでいた小太りの男性が正面で叫んだ。
「始まるよ!静かにしよう!」
1人の子が皆に向かって叫ぶと、今まで騒がしかったクラブハウス内が急に静かになった。
「それじゃ、説明を始めます!」
正面に立っている小太りの男性が、子供達に説明を始めた。
「みなさん、こんにちは。今日から横浜のマリーナでは、ジュニアヨット教室を始めることになりました。今まで、横浜のマリーナでは、大人の人たちのためのヨット教室はあったのですが、今年から子供の皆さんにも、ヨット教室を始めることになりました」
男性は言った。
「私は、片桐一郎と言います」
男性は、自分のことを皆に自己紹介した。
「後ろに立っているのが、土居先生、中山先生、松田先生・・」
自分の自己紹介を終えると、少年少女たちの周りに立っている大人たちの紹介をした。
「彼らが、これから皆さんにヨットの乗り方を教えていくことになりますので、毎日曜、ヨット教室に来られるようにナルトは思いますが、よろしくお願いいたします」
片桐一郎は、子供達に伝えた。
「いま自己紹介では、先生と紹介させて頂きましたが、皆さん、どの先生も別に普段から学校の先生をしているわけでもありません。皆さん、普段は普通にお父さん、お母さんをされている方達ばかりです」
そう片桐先生が説明し終わると、少年少女たちの中央にいた少年を指差した。
「松田優平くん」
「はい」
中央にいた少年が、片桐先生に返事した。先ほど、少年少女たちがお喋りで騒がしかった時に、静かにしようと進言して、皆を静かにさせた少年であった。
「松田くんのお父さんが、松田先生です」
片桐一郎は、子供達に説明した。
「松田先生も、松田くんのお父さんであり、普段は普通に会社で働いているお父さんです」
「松田です」
「皆さん、プロの学校の先生ではありませんので、学校の先生のように上手にはヨットを教えることはできないかもしれませんし、ヨット教室、教室としては正確な対応ができないこともあるかもしれませんが、そこのところは大目に見ていただければ幸いです」
片桐一郎は、説明の合間に一息ついた。
「まず、ヨットですが、海から落ちてしまうこともあるかもしれませんが、その時に救助の船が来るまで、海に浮かんでいられるように、こういったライフジャケットという救命具をヨットに乗る前には、必ず着用してください」
片桐一郎は、オレンジ色の服の内側に発泡スチロールの入ったベストを、皆の前に高く上げて説明した。
「これから、皆さんにも1個ずつ配りますので、必ず着てください!」
周りにいた大人たち、先生がダンボール箱の中に入っているライフジャケットを1個ずつ子供達に手渡して周っていた。手渡しながら、着用の仕方がわからない子供達には、一緒に着るのを手伝いながら、ライフジャケットの着方を説明して周っていた。
「皆さん、全員着用できたかな!?」
片桐一郎が、皆に聞いた。
「それでは、ヨットのしまってある艇庫に移動して、ヨットの乗り方について説明しますので、先生の後について、艇庫まで移動してください」
片桐一郎は、生徒たちを艇庫まで引率した。
主な著作「クルージングヨット教室物語」「ジュニアヨット教室物語」「プリンセスゆみの世界巡航記」「ニューヨーク恋物語」など
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