ジュニアヨット教室物語6
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洋ちゃんの家は、横浜駅から徒歩20分ぐらいの丘の上に建っているマンションだ。丘の上に建っているため。横浜港が一望できる見晴らしの良い場所だった。
その洋ちゃんの家から歩いて5分ぐらいのところに健ちゃんの家はあった。健ちゃんの家は一戸建てで、その裏側に画家のお父さんが絵を描いているアトリエがあった。
お父さんのアトリエで開かられている絵画教室には、洋ちゃんも生徒として通っていた。
洋ちゃんと健ちゃんは、丘を下ると、横浜駅へ向かって歩いていた。
「最近、何をしています?」
「俺、サッカー部やっていますよ」
「洋ちゃんは、スポーツとか得意でしたからね」
「ぜんぜん得意ではないよ。サッカー部もレギュラーじゃないし」
洋ちゃんは、健ちゃんに答えた。
「僕は、部活はぜんぜんしていないです。勉強があるので、直行で帰宅しちゃってます」
「そうなんですね」
洋ちゃんと健ちゃんは、幼い頃はよく洋ちゃんのマンションのすぐ裏側にある公園でブランコに乗ったり、住友の社宅内にあった遊戯施設で遊んだりしていた。
小学生の高学年になると、健ちゃんは勉強一筋でインドアで学ぶようになっていった。洋ちゃんの方は、相変わらずアウトドア派というか公園などで遊んで過ごしてきた。
洋ちゃんも、絵を描くのが好きで、健ちゃんのお父さんの絵画教室に通うぐらいだから、それほど運動が得意なタイプというわけではなかったのだが、勉強よりはアウトドアで遊ぶ方が好きだったので、いつも外で遊んでいた感じだった。
インドア派とアウトドア派なので、小学校高学年になってくると、あまり一緒には過ごさなくなってきてしまっていた。そして、小学校を卒業すると、近所の公立中学校に進学した健ちゃんと、電車で通学する私立の中学校に進学した洋ちゃんとでほぼ会わなくなってしまっていた。
「根岸線で良いですね」
「ですよね」
2人がこれから通うヨット教室は、横浜の根岸にあるヨットハーバーで開講される。
「根岸にヨットハーバーなんかあるって知っていました?」
「ぜんぜん知らなかった」
「ですよね、そんなところにヨットハーバーがあるなんて初めて知りましたよ」
洋ちゃんは、健ちゃんに答えた。
「根岸にあったかどうかは覚えていなかったんですけど、ずっと小さかった頃に、かすかに叔父の乗るヨットに乗せてもらいに連れて行ってもらったことはあります」
「そうなんだ」
「実は、今回のヨット教室を始めるって言い始めたのも、うちの叔父なんです」
「え、そうなの?」
「だから、うちのお母さんが、僕にヨットに通えって勧めてきたんです」
「それで、健ちゃんのお母さんが、うちのお母さんと仲が良いから、俺のところにも声がかかったのか」
「みたいですよ」
2人は、横浜駅で根岸線の切符を購入すると、横浜駅から根岸駅まで根岸線で移動した。
主な著作「クルージングヨット教室物語」「ジュニアヨット教室物語」「プリンセスゆみの世界巡航記」「ニューヨーク恋物語」など
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