クルージングヨット教室物語142
Photo by Razin Zahran on Unsplash
「そろそろ、お昼だから貯木場に入りますか」
麻美子が聞いた。
「来春に横浜ベイサイドマリーナがオープンするから、もう貯木場に入れないんじゃないの」
隆が、麻美子に聞いた。
「な、お昼にヨットを入れられる場所が無くなってしまうよな」
市毛さんが、隆に答えた。
貯木場には、建設中の横浜ベイサイドマリーナの作業のため、台船やクレーン船が出入りしていて、ヨットやボートは入港できなくなってしまっていた。
「お昼どうするの?」
「横浜のマリーナに戻って、マリーナのポンツーンでお昼にしようか」
隆は、麻美子に返事した。
「香代、マリーナに戻ろう」
香代は、隆に言われて、ラッコをマリーナに向けた。
ラッコが横浜のマリーナに戻ってポンツーンに泊まると、キャビンの中のギャレーでお昼の準備を始めた麻美子だった。
「今日は、お昼は何を作るの?」
「寒いし、簡単だからお鍋にしようと思って」
麻美子は、土鍋をギャレーの奥から出しながら、松浦さんに答えた。
「お先に飲んでいてください」
松浦さんに阿古さん、市毛さんの3人に雪も加わって、パイロットハウスのサロンでは、先に飲み会が始まっていた。
鍋に入れる野菜や魚介類をある程度小さく切り分けたら、鍋の中に放り込んだ。
「あとは煮込むだけかな」
今日は、メインサロンとダイニングサロンには別れずに、全員がメインサロンのテーブルに集まって、テーブルの真ん中に置かれた土鍋を皆で突っつきあった。
「うまいうまい」
皆が集まって、土鍋で鍋をしていたので、ラッコのキャビンの中は暖房設備もつけていないのに、ポカポカと温まっていた。
「鍋のせいもあるかもしれないけど、この船のキャビンは暖かいね」
「それは、うららよりは暖かいでしょうけど」
「いや、うららを差し引いても、このヨットのキャビンは暖かいよ」
「さすがクルージング艇!冬に向いたヨットだね」
松浦さんたちは、ラッコのキャビンの快適さを褒めていた。
「そんなに良かったら、ぜひまたラッコに乗りに来てくださいね」
麻美子は、松浦さんたちに答えていた。
主な著作「クルージングヨット教室物語」「プリンセスゆみの世界巡航記」「ニューヨーク恋物語」など
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