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クルージングヨット教室物語125

Photo by Yu on Unsplash

「クリスマスパーティーが終わったら、後は何があるの?」

「後って?」

隆が、雪に聞き返した。

「いや、その後のイベントって何があるのかなって思って」

「イベントは、後はもうないよ」

「新年会とか?」

陽子が隆に聞いた。

「新年会は、各艇の中で、やりたい艇は勝手にやるって感じかな。特にマリーナとして会場借りてやる新年会っていうのは無いけど」

「そうなんだ」

「じゃ、クリスマスパーティーで横浜のマリーナとしての年間を通したイベントは最後って感じかな」

「そうだね、後は来年かな」

隆は、皆に答えた。

「来年は1月から始まるの?」

「うん、ラッコは乗って、出航する予定だけど」

隆は、陽子に言った。

「冬も、今まで通り日曜日は毎週乗れるの?」

「うん」

隆は、香代に頷いた。

「香代ちゃん元気ね。私なんか、去年の冬は隆に連れ出されて一緒に乗ったけど、寒くて寒くて早くマリーナに戻りたいって思っていたけど」

「マリーナとしてのイベントは、特に1月は無いの?」

「無いね」

隆は、陽子に答えた。

「マリーナとしては、来年の活動は4月、5月のクルージングヨット教室からスタートかな」

「そうすると、新しい後輩たちがやって来るんだ」

瑠璃子が、陽子に言った。

「そしたら、瑠璃子もヨットの先輩だ」

隆は、瑠璃子に言った。

ダラダラとキャビンでお喋り、女子トークを続けていると、あっという間に午後の時間は過ぎて、夕方になっていた。

「そろそろ着替えて、ホテルに向かおうか」

「うん。じゃ、着替えちゃうね」

瑠璃子は、着替えの入っているバッグを持って、キャビンの奥で着替えようと思っていた。

「着替えって、クラブハウスの更衣室で着替えたら?」

麻美子が瑠璃子に提案した。

「更衣室で着替えた方が暖かいし良いよね」

「ここも暖かいけど、ここでスカートに着替えたら、ラッコから脚立で降りづらそうだものね」

皆は、ラッコを降りると、マリーナクラブハウスの更衣室で着替えることにした。

「あら、可愛いじゃないの!」

着替え終わって出てきた香代の紺色のワンピース姿を見て、麻美子が感嘆した。

香代以外も、更衣室から着替え終わった皆が次々とでてきた。

「ラッコは、女の子が多いから華やかだね」

フェリックスの市毛さんが、更衣室から出てきたラッコのメンバーをみて叫んでいた。

「市毛さんも、この後はホテルに移動ですか」

「うん、そう。車で向かおうと思っている」

「じゃ、一緒に行きましょうか」

フェリックスの車とラッコの車で一緒にホテルへ向かうことになった。

「あれ、麻美ちゃんは着替えないの?」

「私は、もうおばさんだし、この格好でいいわ」

朝から黒のカジュアルパンツスーツを着ていた麻美子は、香織に返事した。

「隆も、その格好でいいわよね」

麻美子は、隆の着ているブラウスと茶のパンツを見ながら、隆に行った。

「私、麻美ちゃんのスカートを着ているところ見たかったな」

「そうなの?私、もう何年、何十年もスカートってはいたことない」

麻美子は、香織に答えた。

「麻美ちゃんって、会社でもパンツなの?」

グレーのスカートスーツの雪が聞いた。

「うん、ずっとパンツで働いている」

「そうなんだ。うちの会社って、女子はパンツ禁止で、スカート着用必須」

「今どき、パンツ禁止の会社って珍しいね」

「ああ、もちろん物流部の女性はパンツで作業しているけど、オフィスワークの女性は皆、制服のスカート着用で働かされている」

「そうか。もし、うちの、隆の会社にスカート着用なんてルールあったら、隆の会社じゃ、私ぜったい働けなくて速攻で辞めているな」

麻美子は、雪に答えた。

「ホテルに行こう」

皆は、マリーナの駐車場に移動すると、そこに停まっている隆のエスティマでホテルへ向かった。

「あった、ニューグランド!雰囲気の良いホテルね」

麻美子は、厳かなニューグランドの建物の地下駐車場へ車を入れた。

「皆、ドレスアップしているし、このホテルに入るのってすごくセレブ感」

瑠璃子は、車窓から見える夕陽の中のニューグランドを眺めて呟いた。


作家プロフィール

主な著作「クルージングヨット教室物語」「プリンセスゆみの世界巡航記」「ニューヨーク恋物語」など

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