クルージングヨット教室物語19
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「おはよう!」
横浜のマリーナの駐車場で荷物を降ろしていると、陽子がやって来た。
「車、買い換えたの」
「そうなの。これなら、ヨットの帰りとか駅まで送っていてあげる時も、皆が乗れるでしょう」
麻美子は、陽子に答えた。
「今日って、もしかして麻美ちゃんが運転して来たの」
陽子は、麻美子が普段、自動車の運転中に付けているグラサンをしているのに気づいた。
「アイスボックス、半分持ってよ」
隆は、陽子にお願いして、2人で重たいアイスボックスをヨットまで運んだ。
そうこうしているうちに、他のメンバーたちもマリーナにやって来て、ヨットを出航するためのセイルやロープの準備すると、マリーナ職員にクレーンでラッコを海上に下ろしてもらった。
「出航するぞ!」
隆は、ラッコのステアリングを握ると、ヨットは、横浜のマリーナ沖に出た。
「来週、海の日の三連休があるだろう」
ラッコのセイルを上げ終わると、隆は皆に話しかけた。
「夏のお盆の時期には、伊豆七島まで出かけるから、その前に遠出する練習を兼ねて、千葉辺りの漁港で一泊して来ないか」
「良いかも、楽しそう」
瑠璃子が、真っ先に隆に返事した。
「千葉の漁港って、どこら辺まで行くの?」
「そうだな。内房の保田の辺りか、それとも、思い切って館山辺りまで行ってみるか」
隆が答えた。
「保田ってどこ?」
「館山ってお城のあるところでしょう、行ってみたいな」
皆は、それぞれ話していた。
「ここからだと、保田の方が館山より近いかな。今からどちらに行くか決めないで、当日の風とか天候次第で、どちらに行くか決めたら良いんじゃないかな」
「そろそろ、お昼だから、まずは貯木場に入港して、お昼ごはんにしましょう」
麻美子が言って、ラッコは貯木場のイルカのプールに横付けした。
イルカのプールに横付けし終わると、皆はキャビンの中でお昼ごはんの料理を作り始めていた。お昼ごはんを作っていると、先日のクラブレースの時、一緒になった中村さんのアクエリアスも入港して来た。
隆と陽子がキャビンから飛び出して、アクエリアスの舫いロープを取ってあげて、イルカのプールの岸壁に舫いを結んであげた。
その日のお昼は、中村さんたちアクエリアスのクルーたちが、ラッコのメインサロンにやって来て、皆で賑やかなお昼ごはんになった。
「隆くんのところは、来週の三連休はどこかに行くの?」
中村さんが、隆に質問した。
「千葉辺りまで行って来ようかと思ってます」
「うちは大島に行こうと思ってる」
中村さんが、アクエリアスの予定を隆に伝えた。
「大島か。大島まで行って帰ってくるのも良いですね」
「大島まで行ってみたいな」
雪も、中村さんの計画に賛同して、来週はラッコとアクエリアスの2艇で伊豆大島までクルージングしてくることに決まった。
「大島だと、千葉辺りまで行くのと違うから、金曜、前日の夜から夜通しでセイリングして、次の日の朝か昼ごろに大島の波浮港に入港することになるんだ」
隆は、自分のところのクルー皆に説明した。
「夜って、徹夜でずっとヨットを走らせている感じになるの?」
「それじゃ、疲れてしまうからね。ウォッチといって、何人かずつのグループに別れて、順番に交代でヨットを操船して、操船していない方のグループは中で寝泊まりする感じかな」
「船の中で寝泊まりするんだ」
皆は、初めてのクルージングに目をキラキラさせて、隆の話を聞いていた。