複雑な世の中をデータで理解し、解決可能な問題に変える人
大学卒業時の写真と、計量経済学研究の一部
私は大阪大学法学部国際公共政策学科を卒業しました。
初めからデータサイエンティストを目指していたわけではありませんでした。大学2年生の時、硫黄酸化物排出規制海域を法的観点から分析した論文でコンテストに参加しましたが、落選しました。規制の必要性や法的意義を説明するだけでは、実際に環境がどれほど改善されたかを証明するのは難しいという限界を感じました。
この経験をきっかけに、主張に定量的な根拠を加えたいと考え、計量経済学のセミナーに参加しました。以前扱った規制海域を大気汚染データを活用して再分析し、欧州への難民流入が犯罪率に及ぼす影響を研究し、論文を執筆しました。
この過程で、よい分析とは、まず何を知りたいのかを明確に定義することから始まるということを学びました。
より複雑な問題を解決するための機械学習
機械学習プロジェクトにおける評価・検証結果の一部
現実のデータには、従来の統計モデルだけでは説明しがたい非線形な関係や、さまざまな形態の情報が存在していました。これらに対処するため、大学院の授業を聴講し、工学部で機械学習と深層学習を学び、学んだ内容を実際のプロジェクトに応用しました。
モバイルゲームユーザーの長期顧客価値の予測、アメリカン・エキスプレスの顧客の信用債務不履行リスクの予測、取引行動情報の信用評価への活用可能性の検証、小売商品の価格弾力性の推定、救急室の救急患者チェックモデル、気象・気候に基づくカエルの分布予測モデルなど、さまざまな問題をデータと機械学習を用いて扱いました。
数々のプロジェクトを進める中で、モデルの性能は単なる数値だけで判断できるものではなく、実際にどのような意思決定を支援するかによって、問題の定義や評価基準も変わらなければならないということを学びました。
自然言語処理からLLM Agent設計へ
NLP・LLM Agentプロジェクトで設計したアーキテクチャの一部
自然言語処理とLLMを学ぶ中で、文章を生成するモデルそのものよりも、さまざまな構成要素を結びつけて一つの問題解決の流れを作り出すエージェントシステムに関心を持つようになりました。
LLM Agent実装コンテストや個人プロジェクトを通じて、同僚たちと共に、金融関連の苦情や決済障害などの業務状況を想定したAgentを設計しました。ユーザーからの問い合わせを構造化し、RAGを通じて関連文書を検索し、必要なデータをツールで照会した後、根拠を整理する流れを実装しました。
この過程で、LLMにすべての判断を直接行わせるのではなく、計算やデータ照会はルールやツールに任せ、根拠が不十分だったり結果が矛盾したりした場合は人間のレビューに切り替わるようにアーキテクチャを構成しました。
これを通じて、LLM Agentの性能はモデル一つだけで決まるのではなく、RAG、ツールの呼び出し、業務ルール、評価をどのように連携させるかにかかっていることを学びました。
技術よりもまず、解決すべき課題を考えます
計量経済学、機械学習、自然言語処理、コンピュータビジョンは、一見異なる分野のように見えますが、結局、現実の情報をデータとして表現し、その中からパターンや関係性を見出して問題を解決するためのツールだと考えています。
重要なのは、どの技術を使えるかということではなく、今解決すべき問題が何であり、どの方法が最も適しているかを判断することです。
私がデータサイエンスを好きな理由は、仮説を立て、データを通じて検証し、失敗の原因を分析して再び改善できるからです。予想した結果が出なくても、データ、仮定、評価方法を点検すれば、次の実験の方向性を見出すことができます。
今後も、特定の問題を特定の技術に当てはめるのではなく、問題の本質から出発し、データから発見した事実を実際の解決策につなげるデータサイエンティストになりたいと思います。