株式会社グリーンメディカル代表取締役の土井啓史が語る、訪問看護事業を立ち上げた経緯と会社への想いとは
こんにちは。土井啓史です。
本記事は、私の活動に興味を持っていただいたインタビュアーの方と対談した内容です。インタビュアーの方に許可をいただき、記事を掲載しています。
私自身のことや仕事に対する想いなどを深く話す機会はなかなかないので、この機会に知っていただければ幸いです。
ー前回に引き続き、本日もお時間をいただきありがとうございます。
土井さんは、これまで人材会社の経営や数多くの法人立ち上げ支援に携わってこられましたが、今回なぜ医療分野、特に訪問看護事業に踏み出されたのですか。
株式会社グリーンメディカルは2025年に大阪・福島で設立し、あおば訪問看護ステーションの運営をスタートしました。
一見、人材業界とはまったく異なるフィールドのように思われますが、私にとっては「一人ひとりの人生に伴走する」というテーマの延長線上にあります。
人材会社の経営を通して看護師の方からキャリアや働き方についての相談を受ける中で、在宅医療の現場が抱える課題や、その社会的意義を知りました。
特に、終末期の方が「住み慣れた自宅で最期を迎えたい」という想いを叶える訪問看護は、“その人らしく生ききる”ことを支える仕事です。
これは、人材支援で大切にしてきた「人生の伴走」という価値観と深く重なりました。
ー人材業界から医療分野へ。その背景にはどのような想いがあったのでしょうか。
私が訪問看護に挑戦する背景には、社会全体の大きな変化があります。
超高齢社会に突入した日本では、厚生労働省の推計によると2025年には75歳以上の後期高齢者が2,200万人を超え、全人口の約18%に達すると見込まれています。
同時に、医療・介護分野では約80万人の人材が不足するとされ、その中でも在宅医療を支える訪問看護師の確保は喫緊の課題です。
一方で、多くの看護師は病院勤務で夜勤や長時間労働に縛られ、30代以降になると「このままの働き方を続けられるのか」という不安を抱えることも少なくありません。
その一方で、訪問看護という柔軟な働き方ややりがいのある仕事は、まだ十分に知られていないのが現実です。
私はこの「必要性」と「現状のギャップ」こそ、これまでの経営経験と人材育成の知見を活かせるフィールドだと感じました。
現場に寄り添いながらも、属人的な運営から脱却し、再現性のある仕組み・キャリアパスの多様性・心理的安全性を重視した職場をつくることで、看護師が誇りを持って長く働ける環境を実現したいと考えています。
変化の多い時代だからこそ、暮らしに寄り添い続ける医療やケアのあり方が大切だと思っています。
ーグリーンメディカルのミッションには、どのような経緯と想いが込められているのでしょうか。
Mission(存在理由)
利用者・ご家族、医療従事者、関わる地域の方々が、自分らしい生活を実現するためのアシストをする存在です。
Vision(未来像)
ご利用者さまにとって「安心して任せられる存在」であり続け、スタッフにとっても「働きやすく、やりがいのある職場環境」を目指します。
Value(価値観)
・三方よし:利用者さまとご家族、医療従事者、そして地域の皆さま、すべての方にとって良い関係を築くことを大切にしています。
・責任:利用者さまの命をお預かりする意識を持ち、ご家族とともに、安心して暮らせるよう責任ある行動を徹底します。
・協力:関係機関や地域の皆さまと連携し、信頼できるサポート体制を整えます。
・成長:スキルアップに励み、より質の高い看護サービスを提供できるよう努力します。
・コミュニティ:働きやすい環境づくりを重視し、スタッフも地域の皆さまに愛されるステーションを目指します。
このMVVは、人材会社時代から一貫して持っていた「人の人生に伴走する」という思想を、医療の現場に合わせて再定義したものです。
ー具体的にどのようなサービスを提供しているのですか。
私たちのサービスは大きく「看護」と「リハビリ」に分かれます。
看護では、健康状態の観察、医療機器の管理、清拭や入浴介助、服薬管理、食事栄養指導、認知症の方へのケアなどを行い、24時間365日の対応を可能にしています。
リハビリでは、歩行訓練、日常生活の練習・指導、福祉用具や住環境の調整、自主トレーニングの指導、身体機能改善、廃用症候群の予防など、多方面から生活の質向上をサポートします。
これらを通じて、利用者様とご家族が安心して暮らせる環境を支えています。
ー会社として大切にしている価値観についても教えてください。
企業の価値観は、私自身を含め全スタッフが日々の仕事で大切にする行動規範であり、企業文化を形づくる重要な指針です。
三方よしは、近江商人の「売り手よし、買い手よし、世間よし」という考えを基盤に、まず従業員の満足度を最大化し、その満足が利用者への質の高いケアに直結すると考えています。
責任は、命を預かる仕事として、誠実で安心できる行動を徹底すること。
協力は、地域や医療機関との信頼関係を築き、連携体制を整えること。
成長は、常にスキルアップを続け、質の高いサービスを提供すること。
コミュニティは、地域に愛され、働く人が誇りを持てるステーションをつくることです。
ー最後に、グリーンメディカルを通じて、どのような未来を描いていますか。
訪問看護は医療行為であると同時に、「その人の人生に深く関わる営み」です。
私は、医療の質と働く人の幸せを両立できる社会は必ず実現できると信じています。
その変化を訪問看護から起こし、利用者・ご家族・医療従事者のすべてが「自分らしい生き方」を選べる環境を広げていきたい。
そして、どんな立場の人も「自分にもできることがある」と感じられる社会をつくることが、私の目指す未来です。
ー今回も、ありがとうございました!
インタビューを終えて
土井さんの言葉からは、訪問看護を「医療サービス」ではなく、「その人らしく生ききることを支える営み」として捉えていることが強く伝わってきました。
人材業界で培った経験を医療の現場に橋渡しし、働く人と患者さんの双方の幸せを追求する姿勢は、これからの社会にとって非常に意義深いものです。
経営者としての確かな視点と、現場に寄り添う温かい想いを併せ持つ土井さんの挑戦に、今後も注目していきたいと思います。