前回は、経理体制の構築では、まず業務を見えるようにすることが必要だと書きました。
次に取り組みたいのが、業務の標準化です。
標準化というと、細かい手順をすべてマニュアルに書き、誰がやっても機械的に同じ処理をするイメージを持たれるかもしれません。
しかし、経理業務には判断が必要な場面があります。
例えば、ある支出を費用処理するのか、固定資産として計上するのか。在庫差異をどのように調査するのか。売上をどの時点で計上するのか。
このような業務では、「このボタンを押す」といった操作手順だけを残しても、十分ではありません。
標準化で整理したいのは、
何のための作業か
どの資料を根拠にするか
どのような基準で判断するか
例外が発生した場合、誰に相談するか
誰がレビューし、どの証跡を残すか
という点です。
特に重要なのは、担当者の頭の中にある判断基準を、会社のルールへ変えていくことです。
「あの人なら分かる」
「前任者からそう教わった」
「昔からこの処理でやっている」
という状態では、担当者が変わるたびに、処理方法も変わってしまいます。
一方、判断基準や確認事項が共有されていれば、経験の浅い担当者でも、どこまで自分で処理し、どの段階で上司や専門家へ相談すべきかが分かります。
標準化の目的は、経験豊富な担当者を不要にすることではありません。
その人が持っている知識や工夫を、チーム全体で使える財産に変えることです。
経理業務は、すべてを同じ型に押し込めればよいわけではありません。
ただし、同じ条件の取引については、担当者が変わっても同じ結論へ近づけるようにする。その状態が、経理体制の安定につながります。
次回は、標準化を月次決算の早期化にどうつなげるかについて書きます。