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子供の建築教育/相山武靖

子供に建築を学ばせる新しい教育が注目されています。

建築を素材に、子供たちに創造性や問題解決力をつけさせようとする試みです。

日本での歴史

実は、建築による子供向け学習には、長い歴史があります。

アメリカなどの協力も得て、日本の専門家たちも地道に取り組んできました。

1990年代には、アメリカの教師や建築家を迎えて「建築と子供たち・日米セミナー」(日本建築学会主催)が開かれました。

その一環として、東京都内の小学校で、技術・家庭科の時間を使って研究授業が行われました。

「床はじゅうたんだとダニがつくから、木がいいよ」「照明器具は丸い形の方が--」。そんな教室に子供たちの声が飛び交っていました。

「家族が団らんする部屋」をテーマに床や壁、天井、カーテン、照明器具などをサンプルの中から選ばせ、物の色、形に意味と用途があることを体験的に教える、という目的でした。

アメリカの先行事例

建築を素材にした教育では、アメリカが先進地でした。

アメリカ建築家協会(AIA)は、1980年代から建築家と教育者が協力して、学校教育や生涯学習へ建築を活用してきました。

今では学校に建築家を派遣し、授業をサポートするシステムもできています。

ワシントン州シアトル市の、アーキテクチャー・アンド・チルドレン・インスティテュート(建築と子供たち研究会)という団体が有名でした。

同研究会は州の教育委員会から委託を受けて教師向けの研修もしている特に活発な民間団体でした。

AIAの授業指針

AIAでは独自のテキストを作って授業の指針としています。

これは大人でも面白いものです。

「建築の構造」では、アーチやドームなど大きな建築物を支えている力学を組み体操で理解させます。

「自然の中のデザイン」では、巻き貝や鉱物の結晶など自然物の形と建築物を比較します。

「都市計画」では、新しい「首都」を、皆で話し合いながら模型を作ってデザインさせます。

まさに町づくりへの住民参加の「練習」といえるでしょう。



相山武靖

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